その2 イトーヨーカドー訪問記・2


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再び、質問の嵐……!
工場を後にして、生鮮センターの会議室で、あらためてイトーヨーカドーのお2人にリサイクルをする意味などについて、お話をうかがいました。

NN:なぜ、イトーヨーカドーでは、発泡スチロールのリサイクルを独自に行おうと考えたのですか?

IY:私たちが、店舗への配送用に使うもの、そしてお客さまから回収させていただいたトレーなど、これらすべての発泡スチロールを、産業廃棄物として処理した場合のコストは、年間で9.2億円* です。

一方、リサイクル工場のコストは、人件費、光熱費、設備費などで1.2億円ですみます。ですから、こうして独自に発泡スチロールをリサイクルすることにより、年間8億円のコストメリットがあるのです。

リサイクルも、ただ回収すればよいというものではなく、その後の処理や流れを確立して、経済的にも整合性がないと長続きしません。イトーヨーカドーでは、自社の出荷のもどり便を利用することで、物流面・コスト面での負担を低くおさえました。

* 1立方メートル=6kgとして、年間1,830トン処理した場合


“環境会計”という考え方。
NN:環境対策は、コストがかかるので二の足を踏む企業もあります。また、環境対策をしていても、その効果を測り、それをどのように表現するかがむずかしいといわれますが、イトーヨカドーが制作された『環境マネジメントレポート』は、誰が読んでもわかりやすく、環境に対する企業の意欲もよくわかります。ご苦労はなかったのでしょうか?

IY:企業としての環境対策を、消費者の方々に理解していただけるよう、表現や数字を工夫しました。98年度より環境会計の考え方の導入に取り組んでいます。

小売業という事業活動のなかでは、環境対策コストだけを切り離して計上することがむずかしいのです。しかし、環境への取り組みが、比較的明確にわかる範囲の費用とその効果を集計しました。発泡スチロールのような廃棄物処理と、節電、節水、コージェネレーション・システムの導入による省エネルギー対策における、コストメリットを計算しています。


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NN:これほど環境対策に取り組んでいらっしゃるのに、イトーヨーカドーは、ISO14001を取得していませんね。なにか理由があるのでしょうか?

IY:ISOを取得することも1つの方法ですが、ISOを取得しなくても、その企業にあった形で環境配慮の方策を管理することもできると考えています。また、イトーヨーカドーが評価を受けるのは、地域の消費者のみなさまです。大事なのは、ISOを取得することではなく、その産業にとって、環境対策がよくマネジメントされているかどうかだと思います。

NN:おっしゃる通りだと思います。イトーヨーカドーの姿勢は、経済界でも評価を受けているようですね。自社の環境対策をどのように開示していくか、一体誰に向かって姿勢を表明し、わかってもらいたいのかを把握し、しっかり自社の努力を発表していくことが大切ですよね。

2回にわたり、ありがとうございました。私たちも、発泡スチロールをきれいに洗って回収ボックスに持っていく手間を怠らないようにしたいと思います!


訪問記のまとめです。
このコーナーのはじめての訪問先として選んだのが、私たちの生活を支えてくれているスーパーマーケットのイトーヨーカドーでした。

商品開発、物流、廃棄物の削減、エネルギー消費……すべての分野でロスを削減することが、業績をよりよいものとすることは、私たちにも容易に想像がつくわけですが、それが最終的に環境対策につながり、こちらでも大きな“業績”を上げていることが、よくわかりました。

そして、その努力を私たちによくわかるように開示する努力をおしまない、その姿勢にも感服しました。私たちも消費者として、環境問題を意識して商品を選び、資源の回収に協力したい……あらためて、そう考えるしだいです!


*イトーヨーカドーの社会・環境活動については、
 HPから『企業の社会的責任 報告書』をご覧ください。
 http://www.itoyokado.co.jp/company/profile/csr/activity.html



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