その1 悩んだあげく、飛びこんだイトーヨーカドー


02
イトーヨーカドーさん、おじゃまします!
今回お会いしたのは、イトーヨーカドー、“環境開発プロジェクト”の横山さんと大川さんです。イトーヨーカドーでは、環境問題に対処する仕事をプロジェクトとして運営しています。“課”とか“部”にしなかったのは、全社的な取り組みを、各店鋪すみずみにまで行きわたらせるために、あくまで横断的なプロジェクトとして運営しているからだそうです。

Nature Net:まず最初に、“環境奨品”というオリジナルブランドで、環境にやさしい商品を販売されていますが、どういった取り組みなのか、教えていただけますか?

イトーヨーカドー:私たち、イトーヨーカドーという企業全体で、環境負荷を減らすように努力し、消費者の方々に安心して使っていただける商品を提供することに努めているわけですが、これを一歩進めて、独自の環境基準を満たす商品を、自社ブランドとして開発し、ご提供しているのが“環境奨品”です。
具体的には、リサイクル資源、天然資源の活用、環境汚染の恐れのある添加物や原材料の排除、製造工程での環境負荷削減、商品が使い終わった後、リサイクルが簡単、包装も環境負荷を削減できるように工夫してある、などの基準です。 たとえば、ポリエチレンのラップなどでも、刃の部分に、紙よりも固いとうもろこしを原料とした素材を使い、ラップの切れをよくしました。一般的なラップの幅は30cmなのですが、お客さまがお使いになる際の無駄をなくすために、幅も26cmにしました。

NN:そういった商品はよく売れるのでしょうか?

IY:“環境奨品”は、通常、ほかの商品といっしょに平積みになっているのですが、いままで市場を独占してきたようなナショナル・ブランドへの信仰は、photoやはり根強いものがあるようです。それでも、お客さまの意識が変わってきているのは事実です。いくら環境によいといっても、商品本来の使いやすさ、便利さを損なうようでは、結局のところ長続きしないと思います。環境面での性能だけでなく、使ってご満足いただける商品を開発、提供することが大事だと思っています。

豊富な商品……ロスも大きいのでは?
NN:スーパーマーケットというと、豊富な種類・量の商品が、“選ぶのに困る”くらいに積み上げてある……これがスーパーマーケットの魅力でしょうし、おそらく消費者のニーズをくみ取った結果なのだと思うのですが、一方で、少しまちがえると、大量のロスが出はしまいか……と思ってしまうんですが?

IY:おっしゃるとおりで、私たちの流通・小売業とは、すべての部分、場面で、環境との関わりを考えざるをえない業種なのです。ですから、商品の開発〜配送〜販売、そして消費、廃棄にいたるまで、すべての段階で、“ロスを減らす”ということを追求しています。このことが、環境負荷を減らすことにつながります。私たちは“業務改革”と呼んでいますが、これによってロスを減らせば、当然コストも減り、経営的にもよいということになります。

NN:具体的な例で教えていただけますか?

IY:たとえば、洋服なら、商品開発の段階で、企画、素材、加工、流通からの代表の方々とチームを編成し、いま、どんな生地が手もとにあって、なにが流行していて、どんな商品を供給すべきか、を検討し、商品決定します。 そして、決定から製造、販売までの時間を短縮し、お客さまのニーズへの反応を早くする努力をしています。こうすることで、売れない、あるいは売れ残る商品を作るロスを小さくしているのです。
生鮮食料品でも、同じです。午前中から正午にかけては、まだお客さまに調理をする時間があるので、魚を丸ごとお出しします。夕方、仕事帰りのお客さまがいらっしゃるころには、半加工の状態や“お造り”にして、すぐに食卓に出せるよう、ご提案します。
また、新鮮な商品を提供するために、天候、曜日などによって刻々と変化するお客さまのニーズをとらえて、小型ロットで発注しています。ニーズを細かく把握し、納品までの時間を短縮することで、期限が切れて廃棄する食品を減らすことができます。98年度では、廃棄ロス1割削減を達成しました。


“業務改革”の効果

illust

[出典]イトーヨーカドー『環境マネジメントレポート』



prevback to topnext
トップページ プライバシーポリシー サイトマップ
NatureNetは 株式会社青木コンセプト事務所 が発行するオンライン・マガジンです
Eyes on the Globe