第11回 ネットワークが地球を救う?!


03 “IT革命”がもたらすもの


IT革命がもたらす変化とは?
“IT”とはInformation Technologyの略、“IT革命”とは、情報技術の飛躍的な発展を意味します。インターネットの特徴は、情報の伝達速度が従来にくらべて飛躍的に向上していること、地球上のどこにいても、物理的な距離を“均一”にしてしまうことです。また、既存の情報媒体である新聞、雑誌、テレビなどが一方通行の情報伝達であるのに対して、インターネットは双方向の情報伝達が可能です。

インターネットによって、私たちの経済活動や生活様式はどのように変化するのでしょうか。また、環境に対してもどのような影響があるのでしょう。

ITの高度化にともない、情報はデジタル化して伝えられます。新聞ではなく電子新聞、広告も電子広告として掲載……こうなると紙がいらなくなりますから、森林資源を節約できます。同様に、新聞など、印刷メディアの輸送に消費されていたエネルギーも削減します。

あるいは、どこにいてもパソコンとネットを使って仕事をすることができるので、交通機関のエネルギー消費を削減することもできるでしょう。

これらは、まだまだ“現実”とはいえないかもしれませんが、インターネットを活用することにより、企業活動、あるいは、その背後にある価値観には、すでに大きな変化が現れはじめています。

たとえば、アメリカのデルコンピュータなどは、インターネットを使い、ユーザーのニーズにあわせた組み合わせで注文を受け、これにしたがい生産するため、在庫をほぼなくすことに成功しています。

この例にかぎらず、ITを高度に利用することにより、顧客ニーズを個別に的確に把握することが容易になり、個別受注が可能になりますから、 “大多数の人のニーズにあわせて大量生産し、売れ残った製品は廃棄する”という、従来の生産〜消費のパターンが大きく改善される可能性が生まれるわけです。

また、工場を自社で持たなくても、ネットを通じ、部品や製品を効率よく買いつけることが可能になり、多くの企業がこれを利用して、事業の効率化・高速化を進めています。


ITがもたらす、大幅なエネルギー効率の向上
つまり、IT革命とは、製品やサービスの消費、あるいは生産や輸送に関わるエネルギ−効率を、大幅に改善する、大きなチャンスであるととらえられるのです。

ここで、この講座で何度も登場した[循環型経済社会]と、[脱物質化]の考え方を思い出してみてください。ITが、これらを実現するための大きな“鍵”であり、地球環境負荷削減に大きく貢献すると期待される理由がおわかりいただけると思います。

しかし、IT社会といえども、物質から完全に決別できるわけではありません。IT社会の基盤となるパソコンやモバイル機器は有形財であり、短期間でOSやアプリケーションが陳腐化し、本体を使い捨てている現状のままでは、かえって資源効率を下げてしまうのはないかという声もあります。

ITによる脱物質化効果を期待する一方で、有形財である製品の長寿命化、[リデュース、リユース、リサイクル]の、資源の循環システムもしっかりと構築することが重要であることはいうまでもありません。


■ディジタル・エコノミーへの転換

工業化社会 IT社会
基本原則 収穫逓減 収穫逓増
社会プロセス 結果は一意的
予測可能
非歴史的
結果は多様事
前に予測不能
歴史を重視(経路依存)
経済プロセス 大量生産・大量消費
ONE TO ALL
個別生産・個別消費
ONE TO ONE
企業組織 階層型組織
序列重視
官僚制
コマンド型
能力重視:専門家
CEO+コンバットチーム
意志決定 熟慮、決定は不変 即断、朝令暮改
生産要素 資本、労働、原材料
有形資産
アイデア、スピード
実行力、無形資産
市場戦略 品質向上、コスト削減 デファクト・スタンダードを取る
社会を動かす担い手 神の見えざる手
各主体は受動的
企業家、NGOなど各主体が
社会を変える、能動的
[出典]ディジタル・エコノミー2000より抜粋



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