第10回 グリーン調達とグリーン購入


02 地方公共団体とグリーン購入


自治体のグリーン購入への取り組み・あれこれ
グリーン購入法では、地方公共団体にグリーン調達の努力義務が生じます。あくまで自主性にまかせるということですが、調達方針を作成し、推進することを示唆しています。

問題は、小さな自治体はこういった取り組みを行う財政的な余裕がないこと、国と同様、エコ製品の定義があいまいなため、方針が立てられないことが障害になっているようです。しかし、国より以前から、先進的にグリーン調達を実施してきた自治体もあります。

関西地区の水がめである琵琶湖をかかえる滋賀県は、環境対策の先進県として有名です。グリーン購入の取り組みも、日本中のどこよりも早い1994年に開始しました。グリーン調達を、環境部局ではなく、実際の購買業務を担当する“出納局”が担当したことが、成功の鍵となりました。出納局では、具体的な物品の価格・数量などを統括しますから、納入業者やメーカーは対応せざるをえません。滋賀県の成功例は、全国の模範例として波及していきました。

グリーン商品の調達を推進するといっても、税金で運営される行政府である以上、調達品の購入金額が増えてしまったのでは意味がありません。三重県では、インターネットにより不必要になった備品などを登録し、必要な部局に回す“リサイクルフォルダ”という掲示板を設置しました。1999年12月からは、より積極的に、こわれた備品などを修理・保管する“リサイクルセンター”を設置して、有効に活用していこうという試みを実施しています。このように、必要でないものを購入しないというのも、グリーン調達の手法の1つです。


地方自治体ならではの取り組みも
地場産業と共同でエコ製品の開発を進めることができるのも、地方公共団体の特徴です。徳島、香川、長崎県ではグリーン製品開発に対する支援、補助を実施しています。三重県では、家具メーカーと共同で、間伐材を使った家具を製造し、庁舎内で使用しています。

国や自治体がエコ製品を購入するという効果は、どれほどあるのでしょうか。オフィスビルから出る古紙を利用して、リサイクル運動を進めている東京のNGO、“オフィス町内会”は、漂白のための塩素を使わない白色度70のコピー紙(最も普及しているのは白色度80)の普及につとめていました。

1994年の段階で、白色度70のコピー紙のシェアは10%でした。1996年に東京都がこの運動に賛同し、白色度70のコピー紙を購入するようになりました。ほかの自治体もこれに追随し、シェアは15%に伸びました。数値的にはまだ不十分な伸びではありますが、“公”が使うことにより、社会の“あたりまえ”になる効果はあるようです。


■自治体のグリーン購入への取り組みの現状
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[出所]グリーン購入ネットワーク



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