第9回 容器包装のリサイクル〜“静脈ビジネス”は成立するか?


03 技術開発が必要なリサイクル 〜 だからビジネスチャンス!


これからの技術開発に期待が集まる、プラスチック
近年需要が急激に伸びたプラスチックは、どのような形にでも変化し、いろいろな用途に使われるようになりました。プラスチック素材は2,000種類以上あるといわれ、いったんゴミとして混ざってしまうとそれぞれの樹脂にもどすことは至難の業だといわれます。プラスチックの再生技術は、まだ発展途上なのですが、こうした選別技術とあわせて、技術開発に新規参入企業がしのぎを削っています。


◎ペットボトル
ペット:PETとは、英語のポリエチレン・テフタレート(Polyethylene Terephthalate)を略した名称、石油を原料とするプラスチックです。ペット樹脂は、シャツやブラウスなどの衣料に使われているポリエステル繊維で、ビデオテープの原料とも同じものです。1997年の容器リサイクル法の施行と同時に、ペットボトルもリサイクルが義務づけられましたが、98年の実績では回収率は4.7万トンと、総量の16.9%にとどまっています。

それでも、ペットボトルは同一原料で回収されますから、同じペット樹脂にもどすことが可能です。現状では、ペットボトルの再生先は繊維が70%で、ボトルに返るのはたった1%です。繊維としての需要も、ペットボトルの需要の伸びと比較すれば、おのずと限界があると思われますから、できればボトルに返したいところです。問題は、再生ペットをペットボトルにもどすときに、強度を高める必要があることです。

ヨーロッパでは、ペットボトルをもっとぶ厚いものにして、リターナブル方式で繰り返し使ったり、再生ペット樹脂を新しいペット樹脂でコーティングしてボトルを再生する方式がとられています。日本でも、高熱を加えてペット材を強化する技術などが開発されつつあります。

◎その他のプラスチック
プラスチックを同じプラスチック樹脂にもどすためには、多種雑多に混ざったプラスチックゴミを分別することが必要です。現在、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの比較的生産量の多いプラスチックを、赤外線を利用したり、比重の差によって、選別・分別する 技術も実用化されつつあります。

プラスチックをプラスチックの原料にもどすことがむずかしく、リサイクルすることが合理的でない場合、ほかの用途の原材料として使う[ケミカルリサイクル]、燃料としてや燃焼の際の熱を利用する[サーマルリサイクル]が代替案として考えられます。容器リサイクル法でも、化学工業の原料や燃料にする油化、ガス化、製鉄の高炉で鉄鉱石の還元剤として利用する高炉還元、固形燃料化、セメントの原料化などによる再商品化も認めています。

プラスチックの再利用ビジネスには、高熱処理を得意とし、製鉄の際に使うコークスの代わりにプラスチックを利用することのできる鉄鋼メーカー、またゴミの中から塩素分を抜く脱塩処理技術をもつメーカーなどが、こぞって参入をしてきています。


■プラスチックのリサイクル
illust
[出典]『地球環境ビジネス2000→2001』 



next
back to top
prev
トップページ プライバシーポリシー サイトマップ
NatureNetは 株式会社青木コンセプト事務所 が発行するオンライン・マガジンです
Eyes on the Globe