第9回 容器包装のリサイクル〜“静脈ビジネス”は成立するか?


04 身近なリサイクルからはじまる、循環型経済社会


“混ぜればゴミ、分ければ資源”、すべてはここからはじまります
容器包装リサイクル法は2000年4月から完全実施されましたが、貴重な資源を循環させるためには、まだまだ試行錯誤の段階です。よりよい資源循環システムを築くためには、どのような施策があるのでしょうか。


◎まずはなるべく容器包装は使わないことです。ゴミになるような無駄な包装をしない、あるいは容器を軽量化したり、簡単に素材ごとに分解できるように容器を設計することが大事です。容器包装リサイクル法では、容器包装の使用重量に比例して再商品化の義務が発生しますから、容器包装の発生抑制は、企業のコスト削減にもつながります。

◎リターナブルは、リサイクルのためのエネルギーを消費しませんから、リサイクルをする前に導入すべき考え方です。にもかかわらず、私たち消費者は利便性を求めるあまり、リターナブルよりも、ワンウェイ容器を選択する傾向がますます強くなってきています。また、“リターン”にかかるコストは、企業の負担となる一方で、容器包装リサイクル法においては、カンなどは自治体が集めることになっていますから、企業は回収コストを負担しなくて済むのです。

リターナブルを推進するためには、私たち消費者が意識を変えることが重要ですが、それ以外にも、[デポジット制]などを導入して経済性をもたせる、減税措置を導入するなどして行政によって支援する、また回収がしやすいように回収の流通経路を考える、などの必要があるのではないでしょうか。

◎リサイクルの技術と経済性が確立している容器包装に関しては、回収率を上げることが重要です。すでに高い回収率を確保しているカンはもとより、プラスチックなど、これからリサイクルの技術やシステムが成熟していく素材に関しても、ある程度量がまとまらないと売り先を確保することがむずかしいため、回収率を上げなくてはなりません。

◎分別は、リサイクルの出発点です。プラスチックなど、個々の素材がわかりにくいものに、素材ごとの認識マークを表示をするなど、消費者が分別しやすいようにする工夫が必要でしょう。 “混ぜればゴミ、分ければ資源”なのです。

◎プラスチックなど、リサイクルの技術が未成熟の分野では、技術開発を急ぐ必要があります。国は、リサイクル技術開発のため補助金事業を行っています。新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)とクリーンジャパンセンターによるものや、中小企業のためには、通産省の創造技術研究開発費補助金制度があります。また、低利で資金調達が可能な融資制度も、中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行で行っています。

リサイクルビジネスがうまく循環している素材は、経済原理がうまく機能している素材です。最も効率よく資源となるゴミを回収し、分別し、再商品化させた企業は、明日の大きな利益を生むように、法整備、行政システムをつくりあげていかなくてはなりません。


■容器包装リサイクル法の対象となる容器包装
illust
[出典]容器包装リサイクル協会HP


◎参考HP
財団法人日本容器リサイクル協会
http://www.jcpra.or.jp/index.html

アルミ缶リサイクル協会
http://www.alumi-can.or.jp/

スチール缶リサイクル協会
http://www.steelcan.jp/

ガラスびん協会
http://www.glassbottle.org/


[参考資料]
『本当のリサイクルがわかる本』 松田 美夜子・著 KKベストセラーズ・2000年刊
『日経エコ21』 日経ホーム出版社・2000年11月号
『地球環境ビジネス2000→2001』 エコビジネスネットワーク・編 産学社・ 1999年刊



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