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北欧から導入がはじまった炭素税 |
炭素税は、炭素1トン(CO2換算3.6トン、原油1,380リットル、ガソリン1,556リットル)あたり5千円とか1万円などのように課税をします。たとえば、炭素1トンに対して1万円の課税をすると、車に40リットルのガソリンを入れて満タンにした場合、260円ぐらいの税金がかかることになります。
いち早く炭素税の導入に踏み切ったのは、環境や福祉の先進国である北欧諸国です。1990年にはフィンランドとオランダ、91年にはスウェーデン、ノルウェー、92年にはデンマークも炭素税を導入しました。オランダは北欧ではありませんが、国土に干拓地の占める割合が多く、温暖化による海面の上昇には危機感を抱いています。 炭素税という“増税”の見返りとして、北欧諸国では所得税や社会保険料の引き下げと同時に、代替エネルギーへの変換を促す措置がとられています。フィンランドでは97年に実施された炭素税の引き上げに対して、所得税減税と、風力、地熱発電に対する税の軽減などの措置を実施しました。デンマークでは、炭素税による税収は、省エネ投資に対するインセンティブ、企業の社会保障負担の軽減、中小企業への補助金に振り向けています。 |
ドイツ、イタリア、イギリス、フランスも炭素税を導入 |
北欧諸国では、1990年代に相次いで炭素税を導入しましたが、二酸化炭素排出量を考えると工業大国が抜本的な二酸化炭素削減措置に踏み切らない限り効果がありませんし、これから排出量が増える発展途上国に対しても排出量を抑えることを要求することができません。
そんななかドイツでは、1998年に発足した、社会民主党と“連合90・緑の党”の連合政権が、産業界の反対を押し切って99年4月から環境税の導入を開始しました。既存の石油税を増税、また新たに電力税を新設し、その税収を社会保険料の引き下げに割り当てることにしました。 環境税の導入に反対した産業界の合意を得るために、エネルギーを多量に消費する産業を、電力税の対象からはずす例外措置も設けました。そういった意味で、本来の環境税の目的とは相反する面もありますが、工業先進国で環境税の導入実績をつくったことは大きな意味があると思われます。 ドイツの環境税は、さらに2002年まで段階的に強化されていきます。その見返りとして老齢年金保険料など、社会保険料の引き下げにより、労働者は手取り額が増えるととともに、企業負担が減るために、その分人員を増やすことができ、雇用の拡大につながるとしています。 またイタリアは、ドイツに先がけて1999年1月に炭素税を強化しました。2005年まで、段階的にエネルギー価格を21%上げて、二酸化炭素の排出量を6年間で1,200トン減らす計画です。2001年からは、イギリスとフランスが炭素税を導入する方針を固めています。かくして、炭素税はヨーロッパでは“あたりまえ”の温暖化防止対策となりましたが、米国、日本の2大工業国はどうなっているのでしょうか。 |
■二酸化炭素国別排出状況 |
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[資料]オークリッジ国立研究所 1996年データより環境庁作成 [出典]平成12版『環境白書』 |
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