第8回 地球温暖化をくい止める〜グリーン税制と排出権取引


01 温室効果ガスを抑える施策


1997年、京都で開催された[地球温暖化防止京都会議(COP3)]で、2008年から2012年までの5年間に、先進国全体で温室効果ガスを90年比で5%以上(日本が6%、米国が7%、EUは8%)削減することを決めた“京都議定書”が採択されました。2002年にはこの議定書を発効させることが、国際的な目標となっています。

日本では、1997年の二酸化炭素排出量が、90年比で9.4%増加しており、目標を実現するために早急に実効性のある対策を講じなければなりません。京都会議で議長国をつとめたということもあり、その実現は国際的な信頼にかかわるといっても過言ではないでしょう。

現在、その対策として最も有力視されているのが[環境税]の導入です。また、京都会議でも世界的に導入が検討された[排出権取引]も、全体のコストが安く有効な対策として検討されています。


バッズ課税、グッズ減税
アメリカの環境分析シンクタンク、WRI(世界資源研究所)のロバート・C・レペット博士らのグループは、環境に対して負荷をかける行為(Bads)に対しては課税をし、逆に環境を改善する行為(Goods)に対しては非課税とする、あるいは減税を行うことにより、環境の改善を促進することを提唱しました。

バッズとは、たとえば、環境に負荷をあたえる廃棄物、汚染、資源の浪費などで、グッズとは労働、貯蓄、投資、事業などです。所得税、法人税、消費税などの既存の税金は、税金を集めることに焦点がおかれてきました。 バッズ課税・グッズ減税は、課税と減税が相殺される“税収中立”で、環境に負荷をあたえる者に課税するという課税の“対象”に着目しています。

つまり、バッズ課税・グッズ減税とは、環境によいことをすれば税金が減り、悪いことをすれば課税されるのですから、環境によいと思われることを促進させる効果があります。

地球温暖化をくい止めるために二酸化炭素の排出量をおさえることを目的として、このバッズ課税・グッズ減税を適用した環境税が炭素税です。


■COP3で採択された“京都議定書”のポイント
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平成12年版『環境白書』より作成



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