第7回 環境会計と環境報告書


02 環境会計の実際・その1


2種類の環境会計
企業会計には、投資家や銀行、取引先などの外部に報告する財務会計と、内部の管理のために行う管理会計の2種類があります。これと同様、環境会計も、“内部環境会計”と“外部環境会計”とがあります。財務会計は制度化された会計制度にのっとって財務諸表を作成し、外部にその業績の報告を行いますが、環境会計は、いまのところ日本では制度化されていません。それぞれの企業が、工夫をして報告をしているのが実状です。

米国では、財務報告において、環境負荷などの財務上影響がある可能性のある環境コストについて、見積もりと外部報告が義務づけられています。日本でも、会計の国際化や、循環型経済社会の構築といった観点から、外部への報告が制度化されていくことが見こまれます。


どうやってコストを把握する?
◎内部環境会計の場合
内部環境会計では、とくに外部の人の理解を目的としていませんから、各企業がその情報をどういう目的で利用するのか、その目的がコストを分類するために最も重要です。コストを把握する範囲や項目も、それに準じて設定します。

たとえば、環境対応全般に使ったコストを把握しようと思えば、製品生命(ライフサイクル)に即したコスト分けが必要でしょう。

一方、[環境リスク]を回避するためのコストを把握したいと思えば、リスクを回避するための予防設備や、技術開発費、また[環境マネジメントシステム]構築のための費用などを、精査する必要があります。

◎外部環境会計の場合
外部環境会計では、投資家、消費者、地域住民、取引先など、外部の人への報告が前提ですから、ある程度企業間で比較することが可能な、共通の手法が必要です。しかし、現在のところそういった共通の枠組みが存在しないため、各企業が発表している[環境報告書]などでは、それぞれの企業が独自の手法で行っているのが現状です。

環境庁では環境会計の共通な枠組みを構築する必要性から、1999年に“環境保全コストの把握および公表に関するガイドライン”を発表しました。その後、企業や日本公認会計士協会などと検討会をかさね、現在、“環境会計システム導入のためのガイドライン(2000年版)”を発表しています。

また、共通システム普及のために、“環境会計支援ソフトウェア”をインターネット上で企業に提供し、企業の情報を集積して公開する仕組みを立ち上げました。

環境庁の案は、世界水準から見ても外部環境会計に関する最も詳細なガイドラインになっています。今後、海外の企業などにも影響を与える可能性があります。


■企業の環境会計には“内部”と“外部”の2つがある
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[出典]『全図解・環境会計のしくみ』



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