第6回 環境マネジメントシステムと環境ISO


02 環境マネージメントシステムの構築


ISO14001はISO14000シリーズの根幹で、その基本は[環境マネージメントシステム:EMS]の構築にあります。一般に“環境ISOの認証を取得した”といった場合、このISO14001の要件を満たしたことを承認され、認定を受けたということになります。

ISO14001規格の審査登録のためには、“二酸化炭素排出量を何グラムに制限する”といった、ISO側が要求する具体的な数値はありません。それぞれの企業が、従来の活動から、具体的な目標値を設定し、それを主体的に守り、実行していくシステムです。そして、そのシステムが“機能しているかどうか”が、ISO規格の認証を取得するカギになります。環境マネジメントシステムは、ISO9000シリーズと同じように、“PDCAサイクル”にのっとってシステムを運用します。


PDCAサイクル”とは?
PDCAサイクルとは、1)方針・計画の作成(Plan) 2)その実施と運用(Do) 3)点検と是正措置(Check) 4)経営層による見なおし(Action) という手順をくり返し、サイクルを重ねるごとに、より高い目的や目標を達成していくシステムのことです。ISO14001番規格では、以下のような手続きと、取り組みを求めています。


Plan:環境方針・計画の作成
企業の経営トップは、環境方針をうちたて、企業として環境対策をどのようにとらえているかを説明します。そして、製品やサービスの環境負荷の軽減、汚染の防止、法令の遵守(じゅんしゅ)など、環境対策の目的や目標などをあきらかにします。トップが主体的に関与していることで、組織共通の目標であるという認識が生まれます。実際、環境マネジメントシステムがうまく機能している企業では、経営陣の環境への意識がとても高いのが特徴的です。

次に企業活動全般を見わたし、優先して取り組むべき環境上の問題をリストアップし、その問題がどれくらい環境へ影響を与えているか査定します。これを、[環境影響評価(環境アセスメント)]と呼びます。この影響評価をもとに、目標値をできるだけ具体的に設定します。また、企業が遵守(じゅんしゅ)すべき法律や規範を洗いだし、的確に対応できるようにシステムをつくることも必要です。目的や目標が定まったら、実現するための日程や管理プログラムを作成します。


Do:実施と運用
まずは、環境マネジメントシステムを実施する責任者を指名し、体制をつくります。環境ISO責任担当者と経営トップが密に連絡をとりながら、最終的には経営トップが責任をとるという体制づくりをしておくことが、運用をスムーズにするためには重要です。

システムの徹底をはかるために、社員や構成員が環境対策の重要性と運用のための手順を理解していることも、とても重要です。また、顧客、資材の納入業者、地域住民との情報交換も、システムが有効に機能するために必要です。こういった訓練教育や、コミュニケーション活動が、システム全体をささえる基盤となります。

同時に関連文書の管理、目的や目標を達成するための運用管理体制、そして事故や緊急時に環境への影響を最小限におさえるための危機管理体制を確立しなければなりません。


Check:点検および是正
ISO14001規格では、[環境パフォーマンス]を定期的に監視し、測定することを求めています。また、法律違反・不適合が発生したときは、すみやかに是正できるような処置と予防の手順を定めることが求められています。そういった訓練や監査結果などの、記録の作成と保管をどうするか、環境マネジメントシステムが期待したとおり実施されているかどうか、こうした事柄について、定期的な内部監査をおこなう必要があります。


Action:経営層による見なおし
最終的に、組織の経営者は、監査の結果や目標の達成度などを見なおし、継続的に改善をすることが求められています。この見なおしにより、新たな目的や目標が設定され、サイクルが1周するごとに環境対策が進むことになります。


■ISO14001規格のPDCAサイクル
illust
[出典]日本工業標準調査会(JISC)HP



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