第6回 環境マネジメントシステムと環境ISO


01 “環境にやさしい”企業を、どうやって見わける?


公害などを引きおこさないように管理を徹底すること、また、企業活動による環境負荷を低減させるように努力をすることは、いうまでもなく、これからの企業にとって必要条件です。

原料の調達から、製造、輸送、使用、廃棄、はては管理部門での環境対策にいたるまで、企業活動のさまざまな場面における、環境への影響を考え、環境に対する負荷を軽減していかなければなりません。そのために環境対策の指針をたて、実行し、点検し、さらには見なおしをするという一連のシステムのことを[環境マネジメントシステム:EMS]といいます。

しかし、いちがいに企業が環境対策を講じているといっても、その方法も、情報開示の方法もバラバラです。客観的、かつ共通の判断基準がなければ、企業同士を比較することはできません。世界中にその活動の場をひろげている企業の場合には、世界共通のグローバルな規格が必要になってきます。


国際標準規格を提供する独立機関、ISO
みなさんはISOという組織の名前を聞いたことがありますか。ISOとは、国際標準化機構(本部スイス、ジュネーブ)、英語でInternational Organization for Standardizationという独立機関です。種々の測定方法から、製品に使われるネジなど、電気関係をのぞいた(電気関係はIECという組織が担当)あらゆる分野での国際標準規格をつくっています。写真フィルムの感度ISO100、200、400も、ISO規格のひとつです。

ISOではすでに、10,000種以上の国際規格を発表しています。そのなかでも、品質システムの国際規格であるISO9001番と、これからご紹介する環境マネジメントの規格ISO14001番は、“システム規格”の適合性を審査登録できる規格として、企業のブランドとなっています。

1990年代、環境問題が深刻化するなか、それぞれの組織内に環境管理体制を築くことの重要性が指摘されていました。それにこたえる形でISOが提供したのが、“ISO14000シリーズ”です。93年、ISO内に環境マネジメントに関する専門委員会(TC207)が設置され、96年9月より14000シリーズを規格として発行しはじめました。

ISOには、参加各国から、その国で標準化の仕事をしている組織が代表として参加しています。日本からは“JIS”(日本工業規格)の制定や改正などをおこなう日本工業標準調査会(JISC)が、代表として参加しています。


日本で認証を取得するには?
企業や組織の環境対策がISO規格に合致しているかどうか、どのように審査はおこなわれ、“おすみつき”をもらえるのでしょうか。日本では“財団法人日本適合性認定協会:JAB”が、実際に審査をおこなう“審査登録機関”、審査員になるために必要な研修を実施する“審査員研修機関”、審査員の資格を付与する“審査員評価登録機関”を認定しています。

JABによって認定された“審査登録機関”は、各企業や組織が、14000シリーズの根幹である環境マネジメントシステムの規格“ISO14001”に適合しているかどうかを審査します。企業が“適合する”と認められれば、認証を取得したとして、“審査登録証”がもらえます。


■日本でのISO14001(環境マネジメント規格)の審査登録制度
illust
[出典]日本工業標準調査会(JISC)HP



next
top
トップページ プライバシーポリシー サイトマップ
NatureNetは 株式会社青木コンセプト事務所 が発行するオンライン・マガジンです
Eyes on the Globe