第5回 廃棄物を出さない生産システムを構築するには?


03 ゼロエミッションの試み・2


セメント産業で廃棄物をなくす 〜 埼玉県のゼロエミッション構想
石炭灰、古タイヤ、鉄鋼スラグ、廃プラスチック、紙、パルプ、都市ゴミ、汚泥はすべて、セメント製造の原料、あるいは燃料として利用できます。埼玉県秩父地方は、むかしから良質の石灰石を豊富に産出するため、セメント工業が発達していました。

秩父小野田は、県内のほかのセメント工場に呼びかけて、県外で処分していた一般廃棄物や産業廃棄物をセメント工業の材料として利用し、県内で処分する“彩の国ゼロエミッション計画”を提案しました。土屋 義彦・埼玉県知事が提唱している、埼玉県内で稼働している産業プラントを廃棄物リサイクルに活用して倍にして使おう、という“彩の国倍プラント化計画”に呼応したものです。

■1996年・埼玉県内セメント工場への廃棄物の種類別受入れ内訳
illust
資料:埼玉県『生産設備活用事業(彩の国倍プラント化計画)報告書』
[出典]平成10年版『環境白書』


各省庁の試み
各省庁によるゼロエミッションの試みは、97年度から活発になってきました。通産省は厚生省と協力して、環境調和型の街づくりを推進する“エコタウン事業”を開始。岐阜県、長野県飯田市、北九州市、川崎市など、8自治体が承認を受けてモデル事業を開始しています。

環境庁の関連団体、環境事業団は、個々の企業では資源循環のための対策に余裕のない中小企業を対象とした、環境共生型企業団地“ゼロエミッション工業団地”の事業をおこなっています。中小企業の集団化をはかり、工業団地内の資源循環を実現させるためです。これもやはり、川崎市や北九州市で検討されています。

また、文部省は13大学と工業技術院・資源環境技術総合研究所など4つの国立研究機関と共同で、“ゼロエミッションをめざした物質循環のプロセス構築”のための研究をおこなっています。


動きはじめた企業
近年では、最終処分費用の高騰もあり、単独でゼロエミッション構想を打ち出し、実践する企業も増えています。たとえばアサヒビールは、96年に茨城工場で廃棄物再資源化率100%を達成し、98年までに全9工場でも100%を達成しています。ほかの企業も、続々と廃棄物の再利用、再資源化率を上げており、100%とはいわないまでも、廃棄物の90%以上を再資源化している企業が続々と出てきています。



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