第2回 環境保全のためのさまざまな法律


02 法律が規定しているもの・1

それでは、具体的にどんな法律が、なにを規制しているのでしょうか。
そして、その法律をクリアするために、
どのような技術開発や、活動がはじまっているのでしょうか。


改正省エネルギー法
第二次オイルショックを契機に、石油の需要をこれ以上増やさないようにしなければならなくなった日本は、1979年に省エネルギー法を制定しました。それから、20年あまり経った現在、地球の温暖化を防止するために、地球規模で省エネを実現することが必要になりました。

97年に京都で開かれた地球温暖化防止会議で採択された京都議定書によれば、日本は二酸化炭素やメタンなど、温室効果をもたらすガスの排出を、90年をベースにして、2008年までに6%削減しなければなりません。その実現のために、99年4月に施行されたのが“エネルギー使用合理化法”、通称[改正省エネルギー法]です。

改正省エネ法の対象となったのは、工場および事業所、建築物、機器の3つの分野。各分野において、省エネを促し、全体でCO2の排出を抑えようというのが目的です。まず、機器の分野では、一般に普及していて、エネルギーの消費量が多く、エネルギー消費効率の向上がとくに必要だと認められる12種類の機器について、省エネの達成年度と目標基準値を設定しました。

ここで注目すべきは、業界でエネルギー消費効率が最も優れている製品を基準とし、将来の技術開発見こみ分も上乗せした目標値を設定する、いわゆる[トップランナー方式]を採用したことです。よって、省エネ技術が進んでいる企業ほど、加重は軽くなります。逆に、省エネ技術が遅れていると、非常に厳しい目標をクリアしなければならないことになりました。

illust
[出所]通産省
[出典]資源エネルギー庁・HP


工場および事業所に関しても、いままでは限られた大規模の工場に対してのみ、エネルギー使用量などの状況報告の義務づけなど、省エネルギーの努力が課せられてきましたが、今回の改正により、中小企業や、オフィスビルなどの事業所、商業施設などにも省エネ対策が義務づけられるようになりました。

オイルショックのころは、素材産業によるエネルギー消費量が多かったのですが、大企業の省エネが進み、相対的に中小企業や家庭でのエネルギー消費量の占める割合が増え、現在では全体の5割を越えました。そのため、改正省エネ法では、住宅や建築物の省エネ基準が強化されています。断熱や気密性を上げること、またソーラーシステムなどの採用による省エネ効果を測定し、住宅で20%、建築物で10%の省エネが目標です。

省エネルギー商品は、近年消費者の目をひきます。とりわけ自動車業界では、エコカーといわれる省エネカーが続々商品化されています。消費電力の大きいエアコンも同様で、製品の価格が多少高くとも、その後の消費エネルギーが少ないため、ランニングコストを加えた消費者の支払い額が、トータルで下がるという設定で、各メーカーは製品を開発しています。

そのほか、化石燃料を使わず、太陽エネルギー、風力などを使った新エネルギーを利用できる機器の開発も盛んです。ソーラーパネルを住宅に敷設する場合、国や自治体から補助を受けられるなどの優遇措置制度が、こうした商品開発を後押ししています。


容器包装リサイクル法
私たちの生活は、カンやペットボトルの出現で飛躍的に便利になりました。反面、処理しきれないゴミの山を日本中に築き上げてしまったのです。日本各地の埋め立て処分場は、数年で満杯になってしまいます。しかも、新しい処分場は、住民の反対運動などにより簡単には建設できません。そこで、急務になったことが、いままでゴミとして捨てていた食品などの容器を、回収・再生・再商品化することなのです。

1997年4月に施行された“容器包装リサイクル法”は、消費者に分別排出、市町村に分別収集、容器包装の製造・利用事業者には再商品化の分担をすることを決めました。なかなかリサイクルが進まないガラスとペットボトルに関しては、大企業に再商品化を義務づけました。2000年4月からは、中小企業にも義務づけがおよぶほか、紙とペットボトル以外のプラスチック製の容器包装に関しても、再商品化が義務づけられます。

私たちが一生懸命分別してゴミを出しているにもかかわらず、ガラスやペットボトルに関しては、なかなか再商品化が進んでいません。再商品化が義務づけられている大企業も、再処理能力を超える廃棄ペットボトルに関しては、再商品化の義務が免除されるからです。市町村は、回収したペットボトルを処理できないまま抱えこんでいるのが実状です。ペットボトルは回収された後、洗浄され、フレーク状にして、化学繊維などの原料となりますが、その際少しでも汚れがついていると、原料として使えなくなってしまいます。そのため、“マテリアル”としてのリサイクルが非常にむずかしく、コストがかかるのが現実です。

そこに目をつけたのが、本業が伸び悩む鉄鋼メーカー。高温で処理する鉄の高炉を利用し、廃プラスチックを燃やし、焼却熱を発電や蒸気エネルギーとして利用する[サーマル・リサイクル]を実用化させようとしています。2000年4月から、廃プラスチックも回収されることをにらみ、川崎市と福山市で廃プラスチックの受け入れをめざしています。



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