第1回 循環型経済社会とはなにか?


02 一方通行から“循環型”へ


持続可能な発展のための4原則
スウェーデンのNGO、[ナチュラルステップ]の代表カール・ヘリンク・ロベール氏は、地球上でおきている環境問題を現象面だけでとらえるのではなく、その根源から問題解決の糸口を探らなくてはならないと考え、持続可能な発展のための[4原則]を発表しました。

ロベール氏は、地球を疲弊させたのは、地殻からの資源の採取だとしています。これ以上の採取をできるだけ増やさないことが、持続可能のためには必要条件だというのです。それでは、どこから製品を作る材料を持ってくるのでしょうか?

それは、いま使っている製品自体にほかなりません。自然界からの資源の採取(インプット)と自然界への廃棄(アウトプット)を減らし、手もとにある資材を何度も循環(リサイクル)させて、人間の需要を満たそうというのが、循環型経済の基本的な考えです。


“コスト・パフォーマンス”の先にあるもの
経営学的に考えると、いかに安く作るかというコスト・パフォーマンスが、大量生産時代には重要視されました。循環型経済では、環境負荷を低く抑えることが、もう1つの要素として加わります。自然界からの資源投入を最小化し、最大のパフォーマンスを得る。あるいは、自然界へ有害な物質を出さない。自然への負荷を減らせば、おのずと循環型になるともいえます。

また、捨てるものを作らないという意味で、消費者のニーズを細かく把握して、製品やサービスを提供する(生産量の最適化)ことや、製品を売るのではなく製品のもつサービスを売り、製品は回収するという[脱物質化](サービス化)などが循環型経済社会のキーポイントとなります。循環させるのは、製品の材料だけではありません。生産する際の排エネルギーなども利用します。

製品のライフサイクルを考えて循環させるプロセスは、現時点で、どんどん実行に移されてきています。使い終わった製品を回収し、分別し、再生し、再び同じ製品を作る、[インバース・マニュファクチャリング]は、その1つ。また、企業クラスター(群)を形成し、廃棄物をお互い利用することにより、まったくゴミを排出しないで、資源化しようという、[ゼロエミッション]も、同様の考え方に立つものです。


あらゆる段階で、環境負荷の検討が重要に

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[出典]『日経エコロジー エコプロダクツガイド2000』 日経BP社・1999年12月刊



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