第1回 循環型経済社会とはなにか?


03 広がりはじめた、循環の“輪”


政府の取り組み・企業の取り組み
現在、この循環型社会を構築するために、日本ではどういった取り組みが行われているのでしょうか?

政府の“循環に関連する予算”(平成11年度)は、関連する20の省庁の合計で、3兆200億円にも上ります。国会では、与党3党が2000年を“循環型社会元年”として位置づけ、2000年1月からはじまる通常国会で、“循環型社会形成推進法”の成立をめざしています。いままで家電リサイクル法、省エネ法など個々の法律で対処してきわけですが、より積極的に循環型社会の成立を後押しし、日本が“循環型経済社会のモデル”を提示できれば、との構想のようです。

ご承知のように、個々の企業の努力は、かなりのところまで進みつつあります。環境問題を解決する製品やサービスを提供できるようになれば、そしてそれが経済的に見合うものであれば、その企業は大きく発展する可能性があるからです。つまり、“新たなビジネスチャンス”ととらえる企業が増えはじめた、ということでしょう。

一方で、[ゼロエミッション]などのシステムを実現するためには、個々の企業の努力も大事ですが、製品の情報、廃棄回収のシステム、処理業者との連係など企業間のコミュニケーションが大切になるため、こうした部分での他企業との提携を模索する企業も増えはじめています。


消費者として、投資家として。
循環型社会の実現に向けて、私たちにはなにができるのでしょうか?

消費者として、まずできること、それはゴミの分別回収を徹底させることです。これからは、“ゴミ”ではなく、社会からお預かりした大切な“資源”なのですから。使い終わったあとは、それを再生(リサイクル)しやすいように、再び“循環”のルートへともどしてあげるのが、消費者の務め、というわけです。

また、消費者として、環境に配慮した製品を選べば[グリーン購入]、自然にこの循環サイクルの“輪”に参加することにもなります。また、そうした商品選びを一歩進めて、“すぐれた企業”を見わけることも、いままで以上に重要になるはずです。そして、[エコファンド]などを通じ、投資家として、こういった企業に投資し(グリーン投資)、その活動を支援することもできます。

循環型経済社会を構築し、実践することは、けして容易なことではありません。しかし、実現しなければ、私たちの将来はありえないでしょう。そこまで、地球は“限界”に近づいているのですから。


循環が他社階に構造転換すれば、GDPは拡大するという試算もある
高構造改革によるマクロ経済効果


illust

[出所]経済企画庁リサイクルワーキング・グループリサイクル動学的最適化モデルによる試算
[出典]『日経エコロジー』 2月号 日経BP社・2000年1月8日発行



[参考資料]
『戦略環境経営 エコデザイン』 山本 良一著 ダイヤモンド社・1999年刊
『日経エコロジー エコプロダクツガイド2000』 日経BP社・1999年12月刊
『日経エコロジー』 2月号 日経BP社・2000年1月8日発行



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