第1回 循環型経済社会とはなにか?


01 地球の“限界”を目前にして


大量生産、大量消費、大量廃棄……
いままでの私たちの生活を支えてきたものとは、大量生産、大量消費、大量廃棄による一方通行の生産システムであるといえます。それはまた、1980年代までの、日本を含めた先進諸国が遂げた大きな経済発展の基盤となっていたもの、ともいうことができるでしょう。

オートメーションによって、製品を、大量に安く生産し、市場にはありとあらゆる商品があふれ、使い終わったら、ゴミとして捨てる……私たちが享受してきた、そうした生活と経済の成長にブレーキをかけたものは、いうまでもなく“地球環境”の危機です。

まずは資源の枯渇です。私たちは、石炭や石油といった化石燃料だけでなく、鉄、銅などの金属類も地中から大量に採掘しつづけてきました。ご存じのように、その埋蔵量にも限界が見えはじめ、石油はあと40年、天然ガスはあと60年で枯渇するといわれています。

また、こうした資源を利用することによりおこる、地球温暖化現象が指摘されました。石炭や石油といった化石燃料を燃やす、あるいは熱帯雨林を伐採し、木材として使い、最終的に焼却すると、固定化された二酸化炭素が大気中に出ていきます。これが地球温暖化の原因なのです。

一方、熱帯雨林の破壊、乱伐などにより、地球の生態系が崩れはじめています。私たちの便利な生活を支えてきてくれた合成化学物質は、自然界の循環システムのなかではなかなか分解されません。分解されない合成化学物質は、魚の体内に入り、それを食料として食べることにより、私たちの口に入り、環境ホルモンとして作用してしまいます。


私たちと地球が、生きつづけるには?
明らかなことは、このまま20世紀に享受してきたような大量生産型の経済を続ければ、近い将来、私たちは、この地球上で生きてはいけなくなるということです。

この限界にたどり着いてしまう前に、軌道を修正しなくてはいけない……その際に、多くの人々が口にしはじめた考え方が、[持続可能=sustainableな社会]であり、システムです。つまり、私たちの生活と地球を同時に維持しつづけられる、新しい方法を見つけ出すという作業であり、この考え方に沿った新しい社会を築き上げる方策が、循環型経済システムなのです。


製品の環境負荷は、使用時だけが問題ではない

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[出典]『日経エコロジー エコプロダクツガイド2000』 日経BP社・1999年12月刊

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