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環境ホルモンが“恐ろしい”理由 人体の成長期、とくに劇的な成長をとげる“胎児”や“乳児”のころに、本来のホルモンが伝えるべき正しい情報が伝達されず、後生までそのからだに決定的な欠陥を残してしまうことが、環境ホルモンのもっとも恐ろしい点です。また、その“欠落”が発覚するのが、思春期になってからとか、いざ子供をもうけようとする頃になってから、ということもあります。 今までは、“性異常”や“癌”など、比較的症状が明確なものが取りざたされてきました。しかし最近では、胎児、乳幼児期における甲状腺ホルモンの分泌阻害による知能の遅れや、“きれやすい”子供などの問題も、環境ホルモンの影響によるものではないかと疑いだされています。 環境ホルモンが問題になったのは、ごく最近のことです。まだまだ研究段階で、“どの化学物質が、どのような影響をおよぼすのか”は、調査が行われている最中です。一方で、世界中に“化学物質”は、なんと10万種あまりも存在し、今もどんどん増えつづけています。これらの化学物質が、どのような危険性をはらんでいるのか、“よくわからない”というののが現状なのです。 |
環境ホルモンのさまざまな種類
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*注 1)ダイオキシン類:もともと意図して作られたのではなく、副産物として発生した物質 2)植物エストロジェン:この種の植物は、種を守るため天然の女性ホルモン(エストロジェン)を生成し、それを食べる生物の繁殖能力を奪おうとする。 3)伝統的な食習慣の範囲内では大量に摂取されない限り、悪影響はないと考えられる。逆に大豆の摂取のおかげで、日本人には乳癌が少ないとされている。しかし、母乳汚染を恐れて、継続的に赤ちゃんに豆乳を飲ませることには疑問の余地が残る。 4)DES:人工女性ホルモン。流産防止薬として米国で1945〜60年、妊婦に投与された。結果、生まれた子どもたちに女性器の発達の遅れや、奇形、膣癌などがみられた。この薬の被害を契機に、内分泌攪乱物質の恐ろしさが指摘されるようになった。 |
[出所]環境庁 [出典]『環境ホルモンのしくみ』 佐藤 淳・著 日本実業出版社・刊 |