Think about Endocrine Disrupters!


01 環境ホルモンとは?


そもそもホルモンとは?

私たちは毎日、意識をしなくても汗をかいたり、お腹がすいたりします。また、子供は適切な食料を与えていれば、生物学的には自然と育っていきます。このような情報と指令は、どのように人体内で伝わるのでしょうか。この情報のやりとりを主につかさどるのは、“神経(脳)系”“免疫系”、そして“内分泌(ホルモン)系”の体内3大ネットワークです。ここで問題となるのはもちろん、“内分泌系”の情報伝達機能です。

赤ちゃんが男の子になるか、女の子になるかを決定するのは、遺伝子です。XX染色体は女の子に、XY染色体は男の子になることは、私たちも学校で習ったと思います。赤ちゃんがお母さんの胎内で成長していく過程で、もともと精巣にも卵巣にもなりうる生殖腺を、この染色体からの情報が分化させていくのです。精巣や卵巣は、それぞれの性の特質を備えるべく情報を、“性ホルモン”によって各器官に“必要な時期”に伝えます。同じように、甲状腺からは“甲状腺ホルモン”が分泌され、代謝や知能・成長の調整を、脳下垂体からは“成長ホルモン”が分泌され、成長を促したり、抑えたりしています。



内分泌器官とホルモン・その過不足による疾患

内分泌器官 ホルモン名 作用 分泌過剰 不足
下垂体 成長ホルモン 成長の亢進 巨人症
末端肥大症
小人症
甲状腺 甲状腺ホルモン
知能・成長の調整
代謝のこう進
(バセドウ病)
甲状腺機能こう進症 甲状腺機能低下症
膵臓 インシュリン 血糖低下 低血糖症 高血糖症(糖尿病)
副腎 副腎皮質ホルモン 代謝、免疫などの調整
ストレス反応
クッシング症候群 アジソン病
卵巣 エストロジェン
(女性ホルモン)
女性化(月経・乳腺)
卵子の発育、排卵
子宮内膜症、膣癌
乳癌、不正出血
女性器の発育異常
月経不順
精巣 テストステロン
(男性ホルモン)
男性化(精巣の発育)
精子合成
二次性徴の早期出現 男性器の発育異常
無精子症
睾丸性女性化症候群

各内分泌器官が供給するホルモン、その本来の作用と過不足による影響をまとめたもの。環境ホルモンによって、供給されるホルモンに過不足が生じ、上記のような症状が起こる恐れがある。

[出所]環境庁
[出典]『環境ホルモンのしくみ』 佐藤 淳・著 日本実業出版社・刊




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