Digital Camera Basics
【Updates 2001】 アップデーツ2001


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 デジタル一眼レフの実力を検証!〔1〕

一眼レフタイプのデジタルカメラ……たとえば、Canon EOS D30のようなデジタルカメラも、いまでは普及しつつあり、このコーナーをご覧になっている方の中にも、すでに所有されている方も多いのではないでしょうか。

一方で、一眼レフタイプのデジタルカメラは、“大きく・重く・高価”と敬遠されている方も、まだまだいらっしゃるようです。そういった方々に質問してみると、“コンパクトカメラと大きな差がない”と感じている方が多いようです。

はたして一眼レフタイプのサイズや重さは、どんな“実力”ゆえのものなのでしょうか? Canon EOS D30を例に、検証してみたいと思います。




◎デジタル一眼レフのメリットは?

[レンズ交換が可能 = 表現の幅が広がる]

Canon EOS D30の最大のメリットとして、レンズを交換できる点があげられます。どんなデジタルカメラにもレンズはついていますが、コンパクトタイプのレンズは固定式のため、あらかじめ焦点距離が決まっており、どこまで近づいて撮影できるかにも制約が生じます。

そのレンズで撮影できる被写体であれば不自由は感じませんが、特別な被写体を撮影したり、より表現の幅を広げようとすると、不満がでてきます。レンズ交換が可能なデジタル一眼レフなら、その時々のシーンに応じてレンズ交換が可能になります。どんな“効果”かは後で触れるとして、カメラの限界をレンズ交換で補うという意味で、非常に大きなメリットとなります。Canon EOS D30には、同社のEOS用EFレンズがすべて使用できます。


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D30のレンズを装着するマウント部分。形状が銀塩一眼レフのEOSシリーズと同じであるため、すべてのEFレンズが使用可能だ。もちろん、すべてのレンズをそろえる必要はなく、自分に必要なレンズだけをチョイスして使用すればよい。


[大きな撮像素子

デジタル一眼レフカメラには、高画素で、しかもコンパクトタイプよりも大きな撮像素子が搭載されています。画素数が同じなら、大きな撮像素子のほうが1画素あたりの受光面積が大きくなり、より多くの光を利用して画像を作り上げるため、結果として画質が大幅に向上します。

たとえば、大きな撮像素子では、小さなものよりすぐれた階調再現が得られます。グラデーション再現性などが向上し、自然の微妙な色合い、階調を大切にする撮影では、大きなアドバンテージになります。


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デジタル一眼レフに搭載されている撮像素子は、コンパクトタイプと比較して非常に大きい。受光部の面積は、APSフィルムの面積とほぼ同等。このサイズのちがいが、画質に余裕をもたらす。 画素数が同じなら、撮像素子のサイズが大きいほどよりたくさんの光を受けることができ、階調再現など画質に大きなアドバンテージをもたらしてくれる。


[高レスポンスなAF]

AF(オートフォーカス)性能も、一眼レフタイプのほうが高精度・高速で、とくに動態予測AFを使用して動く被写体にもレスポンスよく対応します。またCanon EOS D30のように、フォーカシングスクリーンをもつデジタル一眼レフでは、どこにピントが合っているかもしっかり確認しながら撮影することができるばかりか、電力を消費しないため、液晶モニタよりも電池の“もち”がよいというメリットもあります。

また、花などの撮影ではMF(マニュアルフォーカス)によるピント合わせも多用されますが、このようなカメラのほうが、ピントの確認がしやすくなります。


photo EOS D30と300mmの望遠レンズで、はしゃぎまわる小猿を撮影。高速AFなら、AFのままで動きに追従してくれる。コンパクトデジタルカメラのAFでは、動態にピント合わせが可能でも、高速なものは少ない。


[良好な操作性]

デジタル一眼レフは、コンパクトタイプにくらべてサイズが大きくなってしまいます。レンズ交換のためのマウントがあるなど、どうしてもある程度のサイズになってしまうのです。

しかし、サイズが大きいことでボタンや各種操作系のレイアウトに自由度が増し、操作性がよいカメラとなります。そのためクイック操作が可能になったり、自然な手や指の動きで操作可能になります。結果として速写性も増す、というわけです。

Canon EOS D30の場合、定評ある銀塩一眼レフのEOSシリーズと同様の操作系をもっており、単に操作性がよいだけでなく、すでに持っているEOSといっしょに使っても違和感のない操作が可能になっています。


photo 携帯性ではコンパクトタイプに負けるが、各操作系が大きく余裕のあるレイアウトとなるため、操作性は非常によい。EOS D30の場合は、銀塩のEOSとほぼ同等の操作性を踏襲している点も、併用ユーザには利点となる。




このように、メリットを上げるとキリがありません。とはいえ、コンパクトタイプのメリットは、文字通りコンパクトであること。携帯性を優先する場合はコンパクト、画質や操作性を優先する場合は一眼レフタイプと、使いわけるのがいちばんです。

また、現在、銀塩一眼レフカメラをお持ちの方は、そのカメラを買ったときの気持ちを思い出してみてください。きっと、少しくらい大きく重くても、高画質で操作性がよい、またレンズ選択の自由度の高さを優先して、一眼レフカメラを選んだのではなかったでしょうか?

デジタルの場合も、同じこと。つまり、銀塩で一眼レフカメラを使用していた方は、コンパクトタイプでは、きっとなにかしらの不満をもつことでしょう。銀塩で一眼レフを使用している方は、デジタルも一眼レフタイプを使用することを、おすすめします。



→ デジタル一眼レフの実力を検証![2]