Digital Camera Basics
【Updates 2001】 アップデーツ2001


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 デジタル一眼レフの実力を検証!〔2〕

さて、いざデジタル一眼レフを購入しても、それだけで写真が“うまく”なるわけではありません。いろいろな機能を使いこなして、はじめて思いどおりの、“一歩進んだ”写真を撮れるようになるわけです。そして、デジタル一眼レフの使いこなしの大きなポイントは、レンズの選択にあるといっても過言ではありません。




◎使いこなしのポイントはレンズ選択!

[焦点距離が長くなる?]

レンズの使いわけの前に、デジタル一眼レフならではのポイントをおさえておきましょう。

デジタル一眼レフカメラの撮像素子の面積は、35mmフィルムのフルサイズより、少し小さめのサイズになっています。このため、レンズの焦点距離画角の関係が、従来の銀塩一眼レフカメラとは異なってきます。

たとえばCanon EOS D30では、レンズ本来の焦点距離に1.6を掛けた画角となります。どんなレンズも、Canon EOS D30と組み合わせて使用する場合には焦点距離が1.6倍になるのです。人間の視野に近い画角を持つ焦点距離のレンズを標準レンズと言い、通常50mmレンズを指しますが、Canon EOS D30の場合は、50mmレンズを使用すると80mm相当の中望遠レンズになり、(実際のレンズラインアップにはありませんが)約31mmが標準レンズということになります。


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同じ位置から、銀塩一眼レフの135mmで撮影したもの(左)と、焦点距離1.6倍相当になるD30と85mmで撮影したもの(右)で、ほぼ同等の範囲が写ることになる。


これまで銀塩一眼レフカメラに慣れ親しんできた方が、いちばんとまどいやすいのはこの点でしょう。しかし、単純に1.6倍すればよいので、はじめは少しとまどうかもしれませんが、慣れればすぐに使いわけができるようになるでしょう。

この焦点距離の“1.6倍”という倍率は、カメラの機種(撮像素子のサイズ)によって異なります。今後、同じCanonから発売されるデジタル一眼レフであっても、撮像素子のサイズが異なれば倍率は変わることになります。逆に言えば、銀塩カメラのフィルム面積と同じ24×36mmの面積をもつ撮像素子なら、このような計算は不要になります。


photo あたりまえのことではあるが、同位置から同じレンズを使用すれば、焦点距離が1.6倍相当になるD30のほう(右)が、より大きく写すことができる。


[レンズ選択のポイントとは?]

レンズ選択のポイントとして重要な点は、被写界深度です。先に解説したとおり、現行のデジタル一眼レフでは、画角が焦点距離の1.6倍程度になります。Canon EOS D30の場合、85mmレンズを使用すれば1.6倍の約135mm相当の画角になります。

では、銀塩一眼レフのEOSに135mmレンズをつけて写したカットと、EOS D30に85mmレンズをつけて写したカットは、まったく同じ写り方をするのでしょうか? 答えはノーです。

たしかに、画角はほぼ同じになり、写る範囲も同じになります。しかし、たとえ画角は同じでも、被写界深度は使用するレンズの焦点距離によって異なりますから、当然写り方も変わってきます。

先の例でいえば、D30+85mmレンズの組み合わせでは85mmレンズの被写界深度となり、銀塩一眼レフカメラ+135mmレンズの組み合わせでは135mmの被写界深度となります。画角は1.6倍の倍率で両者がほぼ同じになっても、被写界深度は元のレンズの焦点距離の特性のままであるために、写りは異なるのです。


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同じレンズを使用し、デジタル一眼レフのD30では少し離れて同じ範囲が写るように撮影(右)。これで、従来の銀塩一眼レフで撮ったもの(左)とほぼ同じ画角、ボケのカットとなる。


被写界深度は、レンズの焦点距離が長いほど浅くなり、背景や手前にあるものがより大きくきれいにボケます。この例の場合、銀塩一眼レフカメラ+135mmレンズの組み合わせのほうが、より大きなボケを得られることになります。

では、どのようにレンズを選ぶかとよいかといえば、銀塩一眼レフの場合と同じ焦点距離のレンズを選ぶ、ということです。このシーンは135mmで撮ろう、と思ったら、D30でも同じ135mmを使用するのです。

もちろん同じレンズを使用すれば、デジタル一眼レフで撮影するほうが大きく写ってしまいますから、その分、被写体から少し離れて撮影します。被写体との距離を変えて写る大きさを調節するのです。これで、銀塩一眼レフカメラで撮影したのとほぼ同じように写すことができます。

illust

花やポートレート撮影など、望遠系レンズを利用してボケを活かした撮影を行う場合には、この被写界深度のコントロールが重要になりますから、レンズ選択をまちがえないようにしましょう。いままで銀塩一眼レフで100mmマクロレンズを使っていたシーンは、デジタル一眼レフでも同じく100mmマクロを使い、少し距離をあけて撮影しましょう。


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銀塩一眼レフ+135mm(左)と、D30+85mm(右)とで、画角的には同じに。しかし、設定した絞り値は同じでも、背景のボケ具合までまったく同一にはならない。被写界深度は1.6倍にはならないことを、おぼえておこう。


photo D30に、銀塩一眼レフと同じ135mmをつけ、その分少し離れて撮影。これでほぼ同じカットとなる。“焦点距離が○○倍”となっても、従来の銀塩一眼レフと同じレンズ選択をするのがベターだ。




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