Digital Camera Basics
【Updates 2001】 アップデーツ2001


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 撮影モードを理解して、より“高度な”作品づくりを!〔1〕

カメラの機種によっては撮影モードが多数用意されていますが、これを使いこなしていない方を多く見かけます。もちろん気軽に記念撮影を撮るときには、カメラまかせのフルオートでもかまわないでしょう。しかし、“自分でコントロールして撮る”という意味では、この撮影モードの使いこなし、使いわけが大切です。いままでの撮影から一歩踏み込んだ、一歩上をいく撮影のためには、撮影モードのちがいを知っておく必要があります。




絞りとシャッター速度

撮影モードを使いこなすために重要になってくるのが、“絞り”と“シャッター速度”に関する理解です。この2つの言葉の意味を、漠然と理解している方は多いのですが、それが写真にどんな影響をおよぼすかとなると、きちんと理解している人は少ないようです。

絞りとシャッター速度は、その両方の組み合わせで、写真の明るさ、露出を調節することができます。しかし、両者は露出を調節するだけでなく、写真の“写り方”にも影響を与えます。


絞りの効果

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左は絞りf2.8、右は絞りf22。同じ場所でも、絞りを開けると背景がボケ(左)、被写体が浮き上がる。絞ってしまうと背景がしっかり見えるようになり、メインの被写体がわかりにくくなる。
明るい場所では絞りを絞って暗くして、暗い場所では絞りを開けて明るく写す。絞りをこう考えている人が非常に多いのですが、この考え方は捨てましょう。絞りを変えることで変わるのは、被写界深度(ピントの合う前後の幅)、こう理解してください。

絞りを絞ると絞りの穴が小さくなり、被写界深度が深くなります。つまり、ピントを合わせた被写体と後ろの風景の両方にピントを合わせたいというときには、絞りを絞るのです。絞りを絞ると、シャッター速度が遅くなりがちですから、ブレには注意が必要です。

反対に絞りを開け、絞りの穴を大きく開くと、被写界深度が浅くなります。ピントを合わせた被写体にはしっかりピントが合い、背景や手前にあるものはピントが合わずにボケます。

天候やその場の明るさで絞りを選ぶ方がいますが、“作画”という意味では、これはまちがいです。その場が雨で暗い場所でも、手前から遠くまでピントを合わせたい場合は絞りを絞ります。逆に晴れた明るい場所でも、背景をボカしたいという場合は絞りを開けます。


シャッター速度の効果

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上は1/500秒、下は1/30秒。シャッター速度が速ければ(上)、水しぶきも写し止まっているが、低速では水の流れが線のように写っている。“どちらがいい”ではなく、“表現のちがい”と理解しよう。

シャッター速度も、天候やその場の明るさで選ぶのではなく、その効果を考えて選びます。

動いているものを写し止める場合には、速いシャッター速度を使用し、逆に動いているものをブラして撮る、水の流れを糸が引いたように写すなどの場合には、シャッター速度を遅くします。どれくらいのシャッター速度にセットすればよいのかは、相手の動く速度で変わります。動いているものを写し止める場合、相手の速度が速いほど、より速いシャッター速度にセットする必要があります。

このように、絞りで被写界深度のコントロールができ、シャッター速度で被写体を止めたりブラしたりすることができ、それは、被写体によって、撮影の意図によって選択すべきものだということがおわかりいただけたと思います。

そして、どれくらいの数値にセットして撮ればよいかは、たくさん撮って経験でおぼえるしかありません。でも、現像しなくても、絵柄をその場で絵柄を確認できるデジタルカメラでは、もう少し絞るとか、もう少し絞りを開けるなど、撮ったその場で確認して、その場で調整(練習)できます。デジタルカメラが、写真の勉強に向いているといわれるのは、このためなのです。



→ 撮影モードを理解して、より“高度な”作品づくりを!〔2〕