Digital Camera Basics
【Updates 2001】 アップデーツ2001


02
 撮影モードを理解して、より“高度な”作品づくりを!〔2〕

さて、ここまでの説明で、絞りとシャッター速度を操ることで、“どのように画を作れるか”を理解していただけたと思います。そのうえで、デジタルカメラに用意されたさまざまなモードを、どう使いわけていくかを考えてみましょう。




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オートモード

コンパクトタイプのデジタルカメラで、買ってきたままの初期状態の場合、このオートモードになっているはずです。

露出やストロボ発光の判断など、ほとんどのことをカメラがやってくれます。とても便利な機能で、筆者も気軽な撮影では使用しますが、機械の判断が、必ずしもみなさんの撮影意図と一致するとはかぎりません。機種によっては、ホワイトバランスや露出補正などがそのまま行えるものもあります。

気軽に撮れるのがメリットですが、写真の大切な要素である、絞りやシャッター速度の数値をカメラが判断し決定することはおぼえておきましょう。




イメージモード

カメラの機種によっては、撮影するシーンの絵のマークで選ぶ、イメージモードなどと呼ばれる撮影モードが用意されています。これは基本的にはオートモードと似ていますが、カメラが撮影シーンに合わせた絞りやシャッターの組み合わせを選んで、設定してくれます。

シーンに合わせた設定を行ってくれるため、フルオート(オートモード)よりは一歩踏みこんだ撮影が可能で便利ですが、やはり機械の判断ですから、撮影意図と一致するとはかぎりません。また、カメラが決めた数値を、撮影者が変更(調整)できない機種がほとんどです。

ふだん撮りなれないものを、はじめて撮る際に、試しに使ってみる場合などにはよいでしょう。しかし、しっかり自分でコントロールして撮影したいという場合には、不向きです。




プログラムAEモード(Pモード)

プログラムモードでは、その場の明るさや使用するレンズの焦点距離などによって、カメラが自動的に絞りとシャッター速度を決定します。

オートモードもこのプログラムモードを基本にしていますが、“プログラムモード”(Pモード)と区別して用意されている場合には、より細かな設定が可能になっている場合がほとんどです。また絞りとシャッターの組み合わせはカメラが判断しますが、撮影者が写りを考えて組み合わせを変えることができるのも、プログラムモードの大きなメリットです。

オートモードよりもコントローラブルで、はじめの設定が不要なため、ほかのモードよりも素早い撮影が行えるのがメリットです。速写性の必要な、スナップ撮影などに向いているといえます。




マニュアルモード(Mモード)

まずこのマニュアル(M)モードには、2種類あります。本来のMモードでは、ピント合わせ以外のほとんどの設定を手動で行い、絞りやシャッター速度を自分で決定します。ただし、気軽に撮ることを目的としたコンパクトカメラタイプでは、ホワイトバランス、露出補正などを選べるモードをMモードと呼ぶことも多くあります。

たとえば同じコンパクトカメラタイプでも、Canon IXY DIGITALシリーズのMモードは、絞りやシャッター速度は選べませんが、PowerShot G1では絞りやシャッターを自分で決定できます。ここでいうMモードは、後者の絞りやシャッターを自分で決定できるMモードのことです。

Mモードは、絞りやシャッター速度を自分で決定できる点が大きなメリットではありますが、すべての人に必要なモードとはいえません。両方の数字を自分で設定し、さらに適正露出になるように組み合わせを細かく調整する必要があります。1枚の撮影を行うためにやらなくてはいけないことが多く、時間がかかってしまうことが多いのです。

筆者からは、このMモードの使用はとくにはおすすめしません。なぜなら、この後のAVモード、TVモードを使用すれば、同じ効果の撮影が、しかも素早くできるからです。Mモードは、しばらくの間、ずっと一定の露出(絞りやシャッター速度の数値)で撮影したいという場合の、特殊な撮影用と思ってよいでしょう。




絞り優先AEモード(AVモード)とシャッター速度優先AEモード(TVモード)

プロのカメラマンも多用するオートモードが、このAVモードとTVモードです。

AVモードでは、絞りの数値を撮影者が自分で選んでセットでき、自分で数値を変えないかぎり、いつもその絞り値で撮影できます。シャッター速度は、その場の明るさに応じてカメラが自動でセットしてくれます。

TVモードはその逆で、シャッター速度を撮影者がセットし、その場の明るさに応じてカメラが絞りを自動でセットしてくれます。もちろん自分で数値を変えなければ、ずっと同じシャッター速度で撮影できます。

これらのモードの大きなメリットは、絞り、あるいはシャッター速度のどちらかを、自分で決定して固定できることです。ですから、両方をカメラが決めるフルオートやプログラムよりも、コントローラブルです。また、自分で選ぶのは絞りかシャッター速度の片方だけでよいので、マニュアルモードよりも素早く撮影することができます。この両優先の撮影モードを使いこなせば、ほとんどの撮影をこなすことができると思ってよいでしょう。


photo 望遠レンズで絞りを開放(最大に開けた状態)にして撮影。ピントが合うのはごく一部だが、まわりがきれいにボケて、柔らかい雰囲気の写真に。こういうシーンは、断然AVモードが便利。

photo 広い風景の、手前から遠くまでにピントを合わせる。AVモードで絞りを絞って、被写界深度を深くする。どれくらい絞ればいいかは、その風景までの距離などで異なる。

photo 高速シャッター速度を使用すれば、飛ぶ鳥も写し止まる。もちろんTVモードで、高速なシャッター速度をセットする。このカットは、空バックでアンダーな写真になりやすいので、プラスの露出補正をして撮影。

photo TVモードでシャッター速度を遅くして、流れる水を写す。こうすることで流れている(動いている)水だけがブレて写り、動感を表現できる。もっと遅くすると、糸を引いたような流れに写る。




AVモードとTVモード、その使いわけ

使いわけの判断は、自分が絞りを重要視するか、シャッター速度を重要視するかです。

ポートレートや花の撮影などで、人物や花にしっかりとピントを合わせ、背景や手前にあるものをボカしたい、という場合には、絞りの選択(被写界深度の調節)を重視してAVモード。スポーツ撮影や動物撮影などの、動いている相手を写す場合は、被写体を写し止めるかブラすかなど、シャッター速度の選択が重要なのでTVモードを選びます。

ただし、はじめからこの2つをひんぱんに切り替えていると、なかなかコツをつかみにくいので、はじめはどちらかを使いこんで、慣れたら細かな使いわけをするとよいでしょう。

そして、大切なことは、露出補正をこまめに行うこと。マニュアルモードとは異なり、AVモード、TVモードでは、自分で決めた数値以外はカメラが判断しますから、ここで意図のズレが生じてしまうこともあります。

AVモード・TVモードの露出判断は、まずカメラに任せ、シーンに応じて自分で露出補正をすることです。絞りを選ぶAVモードで露出補正をした場合、自分が決めた絞り値は変わらずに、シャッター速度をカメラが変えて露出を変えてくれます。TVモードでは逆にシャッター速度は変わらずに、絞りをカメラが変えて露出を変えてくれます。




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