ラクダのこぶは水?

サハラ砂漠のラクダは、944キロの距離を21日間、
水を飲むことなく行進したという記録があります。どうして
このような長期間、水分なしで生きられるのでしょうか。




こぶの中身は脂肪!

ラクダのこぶは貯水タンクで、ここに水が蓄えられているという話を聞かれた方もあるかと思います。ところが、シュミット・ニールセンという生理学者は、このこぶは脂肪からできていて、その量は40〜50キログラムにも及ぶことを見つけました。

脂肪には炭素のほかに水素がふくまれています。この水素がからだのなかで酸素によって燃焼すると、エネルギーを出すと同時に1グラムあたり1.07グラムの水をつくり出します。したがって50キログラムの脂肪が燃焼すると、53リットルの水ができるわけです。しかし500キロもの体重のあるラクダに必要な水分を補給するのには、十分ではありません。



ラクダの体温調節

ラクダが長時間水分なしで生きられるには、体温をうまく調節して、あまり水分を失わないためと考えられます。もっとも大きな特徴は、昼間の暑いときには体温を40℃まで上昇させ、また夜間には体温を35℃まで低下させることができます。したがって、昼間に外気から流れこんだ熱や活動によって発生した熱を、からだに蓄えることができます。上昇した体温は、夜間に35℃まで低下させて体内に蓄えた熱を放出します。そのため最小限の汗で体温を調節することができます。


からだの塩分喪失のちがい

もうひとつの特徴は、体内の水分の減少に強く、体重の3分の1もの水分が失われてもこれに耐えることができます。またオアシスなどにたどり着くと、失った水をただちに補い、100リットルもの水を一気に飲むことができます。これは汗の量が少なく、また腎臓の働きで塩分を失う量を少なくおさえられるためと考えられます。

人は、高温下での体温の調節に大量の汗を使います。また、ネズミは唾液をからだに塗って体温を調節するので、暑いときには水分とともに食塩を失います。したがって人やネズミでは、水分と一緒に食塩を補給しないと、失われた水分を補うことができません。