汗の種類とその働き

運動時や環境温が30℃以上になると、汗が出て、
体温の上昇を防ぎます。こうした汗を温熱性発汗といいますが、
汗にはほかにもいろいろな役割をもつ汗があります。





精神性発汗とは

手のひらや足の裏には絶えず汗が分泌されています。この汗は、暗算などをするとその分泌量が2〜3倍に増加します。そのほかの精神活動に際しても分泌量が増加し、いわゆる“手に汗を握る”ことになります。これを精神性発汗と呼び、手指の皮フの微妙な感覚を維持するために、またものを握るときに手にツバをつけるように、滑り止めに重要な役割を持っています。

高速道路でハンドルを握る手が汗ばんでくるようであれば、スピードが速すぎて精神的なストレスになっていることを示しています。精神性的なストレスがひじょうに強いときには、精神性発汗が額や背中などに出ることもあり、これを冷や汗といいます。



脇の下の汗

脇の下にも汗が出ます。これは思春期ごろから始まり、高齢になると分泌量が低下してきます。この脇の下の汗が臭いを出すことがあり、これをワキガ(腋臭症)と呼びます。日本人では15%程度の人に認められますが、白人ではより多くの人がワキガを持っています。

昆虫などでは化学物質を発散して異性を惹きつけます。このような化学物質をフェロモンといいますが、脇の下の臭いが思春期以降に発生することから、フェロモンの一種と考えられます。しかし、人では臭いよりも精神的な作用のほうが、より異性を惹きつけます。



ワキガの原因と予防

脇の下の汗腺は、からだの表面にある汗腺よりそのサイズが大きく、分泌される汗には脂肪が多くふくまれています。この脂肪が細菌により分解されて脂肪酸になり、これが臭いを発してワキガの原因となります。

したがって、脇の下を消毒すれば臭いを防ぐことができます。ワキガの治療には、古くは脇の下の汗腺を手術で取り出しましたが、細菌の関与が明らかになって以来、脇の下を消毒石鹸で消毒する方法が用いられるようになっています。いわゆるデオドラントソープがこれです。