暑さに慣れるには

われわれのからだは、夏場に汗をかきやすくなります。
暑さにさらされてから、汗が出はじめるまでの時間が短くなり、
また汗の出る量も多くなります。その結果、暑い日中や
激しい運動をしたときにも、体温が上がり過ぎないようになります。
また暑さに慣れるにしたがって、快適と感じる
温度の範囲も高温側へ移動します。







暑さへのからだの準備

暑さに対するからだの変化を調べてみると、体液、ことに血液の量が増加し、また血液の液体成分である血漿の食塩濃度がうすくなります。その結果、汗が出やすく、また発汗を長いあいだ維持できる状態、発汗準備状態になります。

熱中症などの暑さによる事故が、梅雨の合間の暑い日、夏の始めや合宿の1日目に起こりやすいのは、からだがまだ暑さに慣れていないためです。



発汗と水分の補給

それでは、からだを暑さに慣らすには、どのような方法があるでしょうか。もっとも効率的な方法は、暑いところで運動をし、汗をかくとともに十分の水分を補給することです。

からだが暑さに慣れるにしたがって、汗腺は、体温が上がるとすぐに汗が出るように変化します。また、大量の汗を分泌する力が備わってきます。さらに汗に含まれるイオンの量が少なくなり、汗をかくことによって血液のイオン濃度が上昇します。

この血液イオン濃度の上昇は、脳下垂体から分泌される抗利尿ホルモンの量を増加させ、腎臓から排泄される尿の量が減少します。また、血液のイオン濃度の上昇は、ノドの渇きをおこさせ、水分を補給します。このように汗腺の能力が増加するだけでなく、汗の原料となる体液の量が増加するわけです。

体液の増加は、運動をしたときの心拍数の上昇を抑え、また、体温の上昇も抑えてくれるので、運動を長く続けられるようになり、事故も起こりにくくなります。



暑さへのウォーミングアップ

馴化の程度は暑さの程度や運動の強さなどで変わります。体重が1キロ以上減少するような運動、30℃以上の気温で2時間程度の運動であれば、3日間続けることで80%程度、1週間でほぼ日本の暑さに対応できる状態になります。

良い汗をかき、汗で失った水分とイオンを充分補うことで、この夏を乗り切りましょう。