体内での水の働き

われわれのからだの2/3は水からできています。水がからだにとって不可欠なのは、たんにその量が多いからではありません。水はその他の液体と違って、多くの物理的な、また化学的な特徴をもっており、これらの性状が生体の働きに重要な関わりをもっています。




水の性質

まず沸点と融点は、摂氏0度と100度で、この地球の上では主として液体の状態で存在します。極地などにいる動物は、からだの中の水が凍らないように不凍液を必要とします。 水はいろいろな物質をよく溶かし、また表面張力がとても大きいため、細胞中、さらには分子の中にまで入り込むことができます。これらの水の性質は、栄養物やホルモンを細胞のすみずみにまで運び、からだの中で化学反応を進め、代謝産物や老廃物を運び去るのになくてはなりません。細胞の働きには、イオンが欠かせません。水は誘電率がひじょうに高く、イオンを溶かしやすくできています。


水による体内の熱の移動

その他に、水の持つ物理的な特徴が、われわれの体温を調節するのに、たいへん重要な役割をもちます。まず比熱がとても高いため、熱をからだに蓄えることができます。つぎに熱伝導率が高いので、必要に応じて蓄えた熱を血液に伝え、からだの表面へと運ぶことができます。運動したときやお風呂に入ったとき顔が赤くほてるのは、暖かい血液が皮フのすぐ下の血管を通り、皮フから熱を放散するためです。


汗による熱の放散

また、水はひじょうに気化熱が大きく、皮フ表面で1ミリリットルの水が蒸発すると580カロリーもの熱を奪ってくれます。激しい運動をすると、1時間に1リットルもの汗をかきますが、1リットルの汗がからだの表面から蒸発すると、580キロカロリーもの熱を奪うことができます。1日の代謝量がほぼ2400キロカロリーですから、1日の代謝量の1/4にもなります。

われわれのからだはこのように、水なしでは機能できないことになります。