運動能力と水分の補給

いよいよスポーツの秋、運動会そしてスポーツ競技の季節を迎えます。
ひごろのトレーニングの成果を十分に発揮したいものです。
そのためには試合当日の体調を整えること、すなわちコンデイショニングが大切です。




コンディショニングとは

コンデイショニングには、運動のエネルギー源となるグリコーゲンを筋肉に十分たくわえること。このグリコーゲンを燃焼するために必要な酸素などを供給し、また体温調節のため、からだの中の水分量を一定に保ち循環機能を維持することが大切です。グリコーゲンを蓄えるためには、糖質を十分に補給します。また循環機能の維持には水分の補給が必要です。


からだからの水分喪失は、運動能力も低下させる

実際のスポーツ活動時の運動能力が、からだから失われる水分量、すなわち脱水により低下するという、最近の研究の結果を紹介します。この調査は、大学のテニス部および陸上部の選手に、練習の前後で踏み台昇降運動をしてもらい、その昇降回数の低下度と脱水量との関係を調べたものです。

その結果は、水分がからだから失われるにしたがって踏み台昇降運動の回数が減少し、ことに体重の2%以上の水分が失われると明らかに運動能力が落ちるというものでした。体重が70kgの人では、1.4kg以上の体重減少が運動能力を低下させます。からだから失われる水分の量は、2時間以下のトレーニングでは汗の量がもっとも影響します。2時間以上の運動でも、汗の量にみあった量の水分の補給をし、体重の減少を予防している人では低下は起こりません。



試合に勝つための水分補給

この結果は、トレーニング時にとどまらず試合の際にも、運動を始める前に水分を補給し、また運動中にもこまめに水分を補給することが、トレーニングの結果を十分に発揮できることをしめしています。最善のコンデイションで試合に臨み、ひごろのトレーニングの成果を発揮してください。


参考文献:
芳田哲也,高西敏正,中井誠二,寄本明,森本武利: 持続的運動能力を低下させる脱水量閾値の検討. 第53回日本体力医学会大会予稿集(1998)263頁.