青木ヶ原周辺では、いくつかのエコツアー会社が樹海見学ツアーを催行しています。今回、こちらの「青木ヶ原樹海の某所ミステリーコース」を選んだのは、ありのままの自然の火山洞窟を探検する、というフレーズに惹かれたからです。環境保護と事故防止のために場所は公表せず、行き先は当日集まってからのお楽しみ。そんなツアーならば、樹海の知られざる魅力にふれられるのではないか、と思ったのです。

その直感はまちがっていませんでした。樹海の散策路を進みながら、真っ暗な地底世界を探検しながら、さまざまな発見がありました。樹海は想像以上に非日常的な場所であり、見慣れぬ光景の連続であり、ありふれた価値観が裏切られる異次元でした。そこに広がる自然は荒々しく、温もりも湿り気もなく乾いていて、なおかつ神秘的な美しさを秘めていました。

休火山から活火山へ。すでにいつ噴火が起きてもおかしくないそうなので、ぼくも富士山の見える土地に暮らしているひとりとして、祈らずにはいられません。どうか次なる噴火が小規模なもので、被害も最小限で済みますように。そして、1000年以上もの時間をかけて、やっと溶岩の海から樹木の海へと再生した青木ヶ原が、守られますように。