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5 サッカー選手のための栄養学
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筋肉の理解と骨格筋の構造
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わたしたちのからだを構成する筋肉には、3種類あります。

それらは、自分の意志で運動(屈曲や伸展)し、骨格を形成する“横紋筋”と、内臓などを構成し、胃や腸の蠕動(ぜんどう)運動など、意志と関係なく動いている付随運動のみの“平滑筋”、そして、筋肉自体がリズムをもって、一生動きつづける心臓の筋肉である“心筋”の3種類なのです。

わたしたち、スポーツ選手にとってすべての筋肉が大切ですが、とくに横紋筋=骨格筋のはたらきこそ、もっとも大切なポイントなのです。この骨格筋について、その特徴を理解していきましょう。


骨格筋を構成しているのは、横紋筋繊維と呼ばれる、収縮性をもった細ながい、多核細胞です。これは、発生途中で筋芽細胞が多数融合しながら、筋肉としてできあがっていきます。何本かの筋繊維と、そこに栄養を提供する毛細血管や運動神経の末端が、まず繊細な結合組織によって小さな束になり、それがさらに粘性の結合組織によって束ねられます。この第2次の束が多数あつまって、筋肉をつくります。筋肉のまわりは、筋膜に包まれていて、多くの場合、両端は腱を介して骨に付着しています。筋肉の基本構造は、次の5点に集約されます。

1) からだの動きは、すべて筋肉の収縮によっておこなわれます。車にたとえると、筋肉はヒトのからだのエンジンであり、パワーをうみだし、糖質はガソリン、ビタミンはエンジンオイルと理解することができます。
2) からだを動かす筋肉には、“赤筋”と“白筋”があります。
3) 筋肉の主要構成成分は、いろいろなタンパク質です。
4) 筋肉量と筋グリコーゲンは、正比例の関係にあります。
5) 筋繊維の肥大が、安定した筋力をうみだします。
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ミニ栄養学講座・13
マラソンランナーと赤筋

天性のマラソンランナーは、90%以上の筋肉が赤筋でできている。その選手の筋肉を魚にたとえると、“マグロ”! 両者ともにスタミナは抜群だ!
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さて、骨格筋には“赤筋”と“白筋”、それらのあいだの、“中間筋”があります。魚にも赤身の魚と白身の魚がありますが、そこには関係があるのでしょうか? 赤筋は、SO繊維(Slow twich Oxidative)とよばれ、有酸素運動に適した筋肉といえます。すなわち、マグロは赤筋で構成された魚ということになります。つねに泳ぎつづけて、筋肉は発達し、長距離を泳ぐのに非常に適しています。赤く見えるのは、筋肉の細胞内にミトコンドリアという自家発電気があり、ここにチトクロームという酵素が蓄積され、ヘム酵素がはたらき、ここではヘム鉄が必要になってきます。じつは、筋肉が赤く見えるのは、この鉄分の色なのです。そして、この赤筋は有酸素運動用といっても過言ではなく、持久力種目にはとても大切な筋肉です。マグロは生まれてから一生回遊しつづける、全身赤筋におおわれた、筋力トレーニングの魚なのです。

一方、ヒラメなどの白身の魚は、ふだんは静かに海底にやすんでいますが、もし、あなたがヒラメを釣ったら、その引きのちからにはビックリするでしょう。この筋肉は、無酸素運動に適した白筋でできているのです。すなわち、白筋は短距離用や格闘技用の筋肉で、FG繊維(Fast twich Glydoltic)、つまり硬い、瞬発力に富んだ筋肉なのです。

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