header
4. 野球選手・真夏の栄養学



line
真夏の栄養学と実際の食事
line

1)選手の食欲低下を防ぐ
暑い夏の試合や練習がつづくと、疲労がかさなり、食事も簡単なものや冷たいものばかり食べがちです。どうしても食べられない場合、うどん・そうめんなどのめん類、パスタなどがよいでしょう。しかし、タンパク質はこれだけでは不十分! 牛乳やヨーグルトは、かならず摂ってください。夏は、牛乳にかぎらず、すべての食事での衛生面での注意が必要になってきます。

また、選手たちに評判がよいメニューは、カレーライスです。野菜も肉も多めに、ごはんたっぷりにして、おかわりは2〜3回ぐらいしてもらいたいものです。焼き肉やキムチや香辛料を使った料理は、食欲を増してくれるので夏向きのメニューでしょう。冷ししゃぶしゃぶも、試合の終わったあとには好評です。
illust


ミニ栄養学講座・12
カツ丼の歴史

はじまりは“ステーキ” → イギリスの港で働く人たちが、高い“ステーキ”だけを食べられないので、ころもをつけた“カツレツ”を考案 → 日本に渡った“カツレツ”は、牛肉が高かったため、豚肉を使った“とんかつ”に変化 → しかし、それでも高くて食べられなかった一ツ橋大学の学生が、友人と1枚の“とんかつ”を半分に分けあって、玉子で増量して“カツ丼”ができあがる。これは、ホント!
illust
line 2)効率よいエネルギー化とは?
疲れをとるためには、肝臓にためたグリコーゲンをエネルギーに利用しますが、その代謝に必要な栄養素がビタミンB群です。とくに、ビタミンB1・B2が糖質を利用する点で大切です。ビタミンB1を多く含んでいる食品は、ダントツで豚肉! 豚肉を使った生姜焼き、とんかつ、カツ丼などは、合宿中には欠かせない食事でしょう。ごはんは、ふりかけや焼きのりといっしょに食べるなどし、ビタミンB1・B2を摂ることを考えてください。

さっぱりした食事が食べたいという選手が多いなか、脂質の摂り方は重要なポイントです。おなじ量を食べても、糖質・タンパク質は1グラムあたり4キロカロリーですが、脂質は1グラムあたり9キロカロリーの熱量をもち、倍以上のカロリーを稼ぐので、脂質を上手に摂ってみてください。

たとえば、サラダにドレッシングを使ったり、マヨネーズを使ったり、てんぷらや炒めものなど、見えないところで脂を使ってください。食の細い人、夏やせをする人、胃の弱い人も、この方法を試してみてください。そのときに、ビタミンB群のナイアシン(レバー・鶏肉・鯨肉・脱脂粉乳・緑黄食野菜などの食品に多く含まれている栄養素)を同時に食べると、よりいっそうの効果が見こまれます。


3)スタミナ消耗と貯蔵について
暑い夏の水分摂取対策は、汗といっしょに失ってしまう、鉄分の補給が大きな問題になってきます。そうなってしまうと、オフシーズンに貯蔵した鉄分やフェリチン(貯蔵鉄)も使うことになります。試合や練習が激しくなるにともなって、鉄分を補給することを忘れないようにしなくてはなりません。

鉄分は、水前寺のり・ひじき・きくらげ・レバー・ハマグリの佃煮や缶詰・あおのり・ハチミツ・あさり・あゆ・いわのり・煮干に多く含まれています。同時にビタミンBやCを摂取することは、鉄分の吸収を高め、貧血の選手には大切なのです。

こうした食事を摂りながら、効率のよい練習と集中力をキープする試合をおこなうことができれば、最後まであきらめない闘志が、すばらしい感動を生むことでしょう。

甲子園をめざしている高校生のみなさんには、
“苦しかった練習も忘れてしまう、思いっきりうれしい、感動の涙”“まっ黒に日焼けしたチームメイトとの、悔しい、思い出の涙”の両方を味わってもらいたいものです。

no back no