2. 野球選手・ピッチャーの栄養学 |
ピッチャーの食事 |
これまでのことから、野球選手、とくにピッチャーの食事を具体的に考えてみたいと思います。
野球ほど技術や連携プレーの練習が多く、練習も試合も大変長いスポーツはありません。プロ野球では、先発ピッチャーの連投はめずらしくなっていますが、高校野球などは大会の終盤に近づくにつれ、エースの連投はやむを得ずの毎日です。しかも、暑い夏の甲子園の連投を想定して、練習もコンディショニングが必要になってきます。また、肩や肘などの関節の酷使、変化球の多いピッチャーはさらに肘や筋肉にも長時間負担がかかります。 筋肉の材料のタンパク質だけでなく、全身の筋肉を動かすグリコーゲンの糖質が多く含まれる、ご飯やパスタ、うどんなども、ふだんから主食として一定量食べることは大切です。 疲れて“おかず”しか食べないということがないように、食べる習慣をつけることが大切でしょう。たとえば、フランスパンやレーズンパンにバターとハチミツをつけて、コーンポタージュを食べることで、疲労は解消できると思います。 スピードボールやスピードプレーを得意とするピッチャーは、カルシウムとマグネシウムを多めに摂ってください。試合3日前ごろから、グリコーゲン・ローディング食を使い、ご飯やパン、パスタを多めに、さらに牛乳、プロテイン、ヨーグルトなどの高タンパク質といちご、グレープフルーツ、フレッシュジュースなどビタミンCを多めに意識してください。カルシウム、マグネシウムは神経筋接合部の神経伝達スピードをアップさせるので、サプリメントを使う場合も、それらが多く含まれるものを使ってください。 |
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また、靭帯や腱の強化のためには、ビタミンCやコンドロイチンを多く含むフカヒレがよいのですが、とても高価なので、私がチームドクターをしている柏レイソルでは、毎食カマボコを4〜5切れ食べてもらっています。うどんの具には、このほかにほうれん草やお揚げを入れたオカメ風、力きつねうどんにしています。
このように、野球選手のなかでもエネルギー需要量が多く、なにかとプレッシャーの多いピッチャーほど、食事には気を使ってもらいたいものなのです。 |