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2 野球選手・ピッチャーの栄養学
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野球選手のからだ作り
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前回はトップアスリートのからだ作りの基本を紹介しました。つづいて、これからはいろいろなスポーツの種目別・ポジション別のからだ作りと、勝つためのスポーツ栄養学・スポーツ医学を紹介していきたいと思います。

今回は野球選手のからだ作りを説明します。


基本的に、野球の勝負は瞬発力の大きさで決まります。

体重70キロの野球選手のエネルギー需要量は、1試合120分のゲームで、ピッチャーが650〜750キロカロリー、キャッチャーが500〜650キロカロリー、内・外野手が180〜300キロカロリーになります。おなじく、体重70キロの一般人の場合、グリコーゲンは筋肉中に120グラム、血液や体液に20グラム、肝臓内に70グラム、合計で210グラムあるといわれています。1グラムあたりのエネルギー量を4キロカロリーで計算すると、210グラム×4キロカロリー=840キロカロリーのスタミナがあると考えられます。つまり、持久力が要求されるのはピッチャーだけで、1試合を1人で完投するとほとんどのエネルギーは使いつくされてしまい、逆に、内・外野手は、2〜3試合はじゅうぶんにできる計算になるのです。

ミニ栄養学講座・04
先発ピッチャーの限界

もし、先発ピッチャーが延長戦まで投げるとすると、11回前後で体内にあるエネルギーは枯渇してしまう。そうなる前に、リリーフを出すのがベターだと考えられる。
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ある調査によると、大学野球部の選手の1日あたりの食事量は、ピッチャーが3,436キロカロリー、キャッチャー、内・外野手がともに3,009キロカロリーをしめしました(東京栄養食料専門学校調べ)。栄養摂取としては、ピッチャー、キャッチャーは練習日、試合当日ともに不足傾向で、逆に内・外野手は過剰摂取傾向をしめしました。私も慶応大学や駒沢大学野球部のチームドクターをしていますが、学生諸君は厳しい練習の後は疲労のために食欲がなくなり、とたんに食べられないことが多くあるようです。

参考までに、プロ野球選手のキャンプで1日に摂取する総エネルギー量は5,556キロカロリー、タンパク質247.6グラム、糖質217.4グラム、カルシウム2,167ミリグラム、ビタミンA:5,583IU(IU:国際単位)、ビタミンB:119.08ミリグラム、ビタミンB2:23.24ミリグラム、ビタミンC:377ミリグラムと高い数値をしめしました。プロ野球選手はそれぞれが、食事管理の点でも高い自覚で努力しているのです。

野球選手は勝つために瞬発力を発揮できる食事を目標にしましょう!
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