スポーツ選手と選手でない人の食事において大きくちがう点は、選手では食事の量と質に気をつける必要性が増すことです。競技成績を上げるためには、選手自身がまず健康で、効果的にトレーニングを積むことが最も大切となります。食事はこれを保障する最も重要な因子で、その役割はトレーニングに耐える“からだづくり”と、“肉体的疲労回復”や“食事を通したストレス解消(精神的疲労解消)”にあります。
すなわち、からだづくりのための材料という点では選手も選手でない人も同じですが、選手はそうでない人にくらべて、からだを造っている成分(体成分)の作り替えが非常に速いという、特徴があります。作り替えとは、体成分を合成することと、それを分解することの両者を指します。私たちは毎日、この作り替え作業を行いつつ、からだのなかの環境を変えないで一定に保っているのです(この活動を生体内恒常性の維持と呼び、この状態が健康状態です)。
作り替えに必要な材料(これを栄養素と呼んでいます)を補う行為が“食事”であり、分解されて不要になったものを主に尿中へと排泄しています。もし、“食事”によってからだの構成材料が適切に補充されないと、体成分が壊れる一方となり、知らず知らずのうちに骨が脆くなっていたり、筋肉をつけるはずの“過負荷トレーニング”で骨折したり、栄養性貧血で走れなくなったりするのです。健康状態が破綻するのです。
選手だからこそ、何をどのように食べるのか、トレーニングメニューを管理するのと同じように、食事にも気をつけ、いつも健康な状態で効果的なトレーニングを行いたいものです。
Sports Netでは、これから何回かにわけて、“選手としての食事の摂り方”について考えていきたいと思っております。ご期待下さい。そして、知識としてだけでなく、ぜひとも実践していただければと希望します。 |