Header

Prologue はじめに

スポーツ栄養学研究会 代表 川野 因

スポーツ選手と選手でない人の食事において大きくちがう点は、選手では食事の量と質に気をつける必要性が増すことです。競技成績を上げるためには、選手自身がまず健康で、効果的にトレーニングを積むことが最も大切となります。食事はこれを保障する最も重要な因子で、その役割はトレーニングに耐える“からだづくり”と、“肉体的疲労回復”や“食事を通したストレス解消(精神的疲労解消)”にあります。

すなわち、からだづくりのための材料という点では選手も選手でない人も同じですが、選手はそうでない人にくらべて、からだを造っている成分(体成分)の作り替えが非常に速いという、特徴があります。作り替えとは、体成分を合成することと、それを分解することの両者を指します。私たちは毎日、この作り替え作業を行いつつ、からだのなかの環境を変えないで一定に保っているのです(この活動を生体内恒常性の維持と呼び、この状態が健康状態です)。

作り替えに必要な材料(これを栄養素と呼んでいます)を補う行為が“食事”であり、分解されて不要になったものを主に尿中へと排泄しています。もし、“食事”によってからだの構成材料が適切に補充されないと、体成分が壊れる一方となり、知らず知らずのうちに骨が脆くなっていたり、筋肉をつけるはずの“過負荷トレーニング”で骨折したり、栄養性貧血で走れなくなったりするのです。健康状態が破綻するのです。

選手だからこそ、何をどのように食べるのか、トレーニングメニューを管理するのと同じように、食事にも気をつけ、いつも健康な状態で効果的なトレーニングを行いたいものです。

Sports Netでは、これから何回かにわけて、“選手としての食事の摂り方”について考えていきたいと思っております。ご期待下さい。そして、知識としてだけでなく、ぜひとも実践していただければと希望します。

スポーツ栄養学研究会とは。

スポーツ栄養学研究会は、1995年4月、日本女子体育大学に、日本ではじめて“スポーツ栄養学研究室”が誕生したことから、“スポーツ選手の競技力向上を目指した栄養学的サポートのあり方”に興味をもった数名の栄養士さん、コーチたちの勉強会として発足しました。

5年目となった現在では、約20名の大所帯となりました。主な活動は毎月第3土曜日、午前10時から“日本女子体育大学・川野 因(ゆかり)研究室”(最寄り駅:京王線千歳烏山駅、吉祥寺行きバス5つ目、岩崎学生寮前下車)にて、選手への食事サポート活動を報告しあったり、最新情報の勉強、基本的事項の確認、選手支援にあたっての媒体作成などを行っています。今年は[日本栄養・食糧学会]に選手サポートから得られた情報を整理し、“栄養サプリメントについての選手の意識”として報告しました。今後とも、学会活動や選手へのサポート体験を増やしつつ、スポーツ選手のための食事について、建設的に学び、活動してゆきたいと思います。興味・関心・行動力ある方の参加をお待ちします。


◎お問い合わせは、kawano@jwcpe.ac.jpまで


back to top page