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海の悲鳴:私たちが与えたもの |
01. 魚介類の乱獲 乱獲は、魚介類の個体数を減少させるだけでなく、海の生態系を崩す原因となります。 “マグロのトロが食べられなくなる!” そんなニュースが、ここ数年、聞こえてきます。世界の漁獲高は、1950年からくらべると、1996年にその約6倍、史上最高の1億2000万トンに跳ね上がりました。その増加は、養殖漁業などの技術の発達に助けられた部分もあります。しかし、世界で最も重要な漁業海域15のうち、11までがすでに持続可能生産の限界、あるいはそれを越えて、漁業が行われています。サメのように寿命の長い魚ほど、繁殖力が低いので、乱獲に対しては脆弱です。現在、サメの個体数は、史上最低水準にまで下がっています。マグロ、メカジキ、タラなど、食物連鎖上位に位置する魚も、同様の運命です。 そこで、どん欲な人間は、今まで食べたことのない魚を、どんどん食べるようになりました。スーパーで、昔は聞いたこともないような魚が並んでいるのはそのためです。食物連鎖上位種を乱獲すれば、当然、海の中の生態系も崩れます。カリブ海では、ウニが異常繁殖し、サンゴを保護する藻類を食べるので、サンゴが大きなダメージを受けたとの報告もあります。 最近の漁法は、技術の発達により、非常に効率的になりました。しかしそれは、最新技術を駆使し効率的な分、魚の個体数を減らす原因ともなります。また、細かい網で根こそぎ漁獲するトロール漁は、必要もない雑魚を船上に引き上げ死滅させ、同時に泥や、岩、砂利も一掃し、海中の環境を一変させてしまいます。このように、人間中心の効率主義が、結果的に海の生態系を崩しているのです。 |
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サンゴ礁の状況、1990年代中頃
[出所]World Resources Institute et al., Reefs At Risk: A Map-Based Indicator of Threats to the World's Coral Reefs(Washington, DC: 1998) [出典]『地球白書1999-2000』 |