諸星大二郎『異界録』
【引用図版・4】 『異界録』双葉社89年刊・所収 37頁
諸星の絵は、不思議だ。
昔の手塚マンガのように擬人化され、記号化された線ではなく、かといって白土三平の自然主義的なリアリズムでもない。
『異界録』にでてくる異界への入口は、一見自然主義的な岩山の風景が、奇妙なねじれをもって裏がえってみえる[図4]。
まるで布が開いたようで、3次元の岩が2次元的にひらいてみえるのだ。
この絵は、私たちの内側にリアリティをもつ絵で、内在的な外界だと思える。
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