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吉田秋生『櫻の園』
【引用図版・3】 白泉社文庫 94年刊・所収 142頁



周囲から男っぽく見られ、女子からファンレターをもらう女の子は、家に帰って部屋に散りこんだ桜をきれいだと思う。

一人でいるときの、女の子らしい心の動きを“でも きれい…”というセリフがひそかに伝える。

桜は、複数の女の子たちの心の揺れを、象徴的な背景としてつなげてゆくのだ。

家に吹き込んだ桜は、何かが変わり、過ぎ行くことが、花びらの形をかりて心に忍び込む時間である[図3]。




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