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image たむらしげる『銀河の魚』

【引用図版・2】
『スモール・プラネット』青林堂
85年刊・所収 31頁




少年と老人は、天の川の島で巨人と魔法使いに、流れ星のかけらからつくった銛をもらい、見事怪魚をしとめて帰ってくる。

たむらしげるは、イラストレーターとして活躍し、彼の絵はテレビのCMなどのアニメーションにも登場しているが、独特のファンタジーを描くマンガ家でもあった。

彼の世界観には、軽やかな想像力のつくる“自然”や“町”や“人物”たちが登場する。

ガラスでできていて、ゆっくりとうねる海。人をもてなすのが好きな歩く家。夜、歩いているとどんどん大きくなって、地球を踏み越えて銀河に漂ってしまう老教授。雪や氷だけでできた人間、動物、樹木、建物の世界。

多分、彼は宮沢賢治の歩く電柱や銀河鉄道の現代的な後継者だ。

でも、たむらの画像にはもっとイメージの重なりがある。たとえば、水の底にみえる“もうひとつの海”[図2]。




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