シンプルなわかりやすさと独自性の両立をめざして
■宝焼酎「純」15%“Say Noボトル”。
お酒を飲む、まさにその瞬間に、“あなたの飲酒は適正ですか?”と訴えかけるねらいで発表されたもの。

■「Say No」運動の一環として、1985年お正月の新聞に掲載された1ページ広告。

さて、2002年度版からの最大の変化としてあげられるのが、企業の“社会的責任”に関してのページが登場したという点です。項目としては、[社会貢献活動][製品の安全][お客様との関わり][従業員との関わり]の4つが取り上げられています。

これらの項目を選択した経緯を、北村さんにうかがいました。

“GRIなど、こうした報告書に関するガイドラインが「盛りこむべし」としている項目の数は大変多くて、そのすべてをカバーすることはむずかしいですし、私たちの会社の実情に即しているとはいえません。むしろ、ふだんからやっていることのなかで、消費者にとってニーズのある情報はなになのか……それを基準として、フィルターにかけてみました。そして、この報告書を読まれる方が「求めるであろう」ということを私たちの環境チームで検討した結果が、今回の4項目だったのです”。

環境への取り組みにとどまることなく、企業としての社会的な責任、その取り組みの姿勢を明らかにすること。さらに、それをわかりやすく説明していくことの必要性を伝えながら、その方向づけを行なっていく……。環境チームは、いわば社内において“けん引車”の役割を果たしているといってもよいのかもしれません。

たとえば、[お客様との関わり]のなかで取り上げている、飲酒問題。85年からスタートした“「Say No」運動”では、節度ある飲酒習慣と、飲んではいけない時に断る勇気を、と訴えてきたそうです。“飲酒と社会との調和を図っていくことも重要”との表現があるように、商品を作って消費者へ売り、そこで利益を得る……そこで終わってはいけない、という明確なメッセージ。商品のライフサイクルはもちろんのこと、その飲まれ方にまで責任を持つことこそ、企業責任の最たるものといえるのではないでしょうか。



ご存じのように、宝酒造は、環境報告書などに関しては“先駆者”的存在です。オリジナルの単位“ECO(エコ)”を用いた緑字決算については、環境経営の基準として、他社にも広めていっては……? という意見もよせられているとか。


“当社にとっては、環境経営の状況がひとつの明確な数字で表れるので、トップから社員までが簡単に把握できてわかりやすいのですが、他社に広めるとなると、各企業によって重み付けも、設定する項目も異なりますから、現在のままでそのまま他社に導入したり、数字を比較するのはむずかしいと思います。

もちろん、こうしたご意見はありがたいことですので、私たちから社会へ向けてできることを模索しているところです。この緑字という考え方は、試行錯誤のうえで作り出し、時間をかけて育ててきたもの。宝酒造の環境に対するスタンスを言い表している、いわば冠のようなものだと思います。今後も、社会の動きに対応しながらも、迎合するのではなく、宝酒造らしい報告書を作っていきたいと考えているところです”。


じつは、ホームページの管理も、ひとりで担当している北村さん。ほしい情報に、迷わずたどりつける見やすさは、この視点あってのものだったのかと、思わず納得です。

封筒を使わず、宛名ラベル(簡単にはがせます!)が表紙に貼られただけの“エコメール”で届く、宝酒造の『緑字決算報告書2003』。ちいさなことから、できることから……そんな気持ちにさせてくれることは、まちがいありません。





[TaKaRa 緑字決算報告書]については、こちらからどうぞ。

TaKaRa


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