社会的責任への言及が、以前にもまして前面に。
昨年の2002年度版で、いち早く“社会”の2文字を表紙に掲げ、環境報告書に、社会との接点や社会的責任に関する記載を大胆に盛りこんだソニー。その後の1年、この方向で、全社的な取り組みを推進する組織の改変も行われ、報告書もより充実したものとなったようです。

“毎年、タイトルが変わる”……たしかに、ここ数年、ソニーの報告書の“タイトル”は、変化しつづけています。2001年度は『環境報告書 2001』、02年度は『社会・環境報告書 2002』、そして今年度が、『CSR Report 2003 社会・環境活動報告』。


こちらがアニュアルレポート。

まさに、環境のみならず、社会的責任の側面も同様にあつかう報告書として、進化しつづけていることを、端的に表しているようです。今年度、表紙には、英文で“Corporate Social Responsibility Report 2003”とあり、昨年度版に記された“Social & Environmental Report 2002”とのちがいが、“力点”の移動を感じさせます。

サイズは、昨年度から変わらずB5サイズ、財務関連情報などを掲載する“アニュアルレポ−ト”と共通した表紙デザインになり、相互補完する内容だということを印象づけるものとなっています。

従来にもまして、企業としての社会的な責任に重きをおき、そのアカウンタビリティー(説明責任)を強く打ち出したところが、今回の最大の特徴です。報告書の編集を担当した環境・CSR戦略グループの橘高さんによると、“なんのための、誰のための、報告書なのかということを、つねに考えています”。その言葉どおり、ソニーとなんらかの関係を持つすべての存在に対して、企業としての姿勢をあらわすものになっていることが随所にうかがえます。

全体は、大きくわけて3部構成。その最初に置かれているのが、昨年度にはなかった[マネジメント体制]。なかでも、“CSR”(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)の基本となるコンプライアンス(遵法=ルールを守ること)機能の強化について、ページをさいて説明がなされています。

[コンプライアンス統括機能の強化]の項には、こう記されています。“ソニーでは、顧客満足度を高め、社員の労働環境を改善し、事業活動における地球環境への負荷を減らし、地域コミュニティとの良好な関係を維持するためにさまざまな活動を実践してきました”……行動の前提・目標を、明確な言葉でつづったうえで、“そうした企業の社会的責任にかかわる活動に対する社会からの要望の高まりや、企業にとっての重要性を認識し”……2003年3月に、CSR担当部署を新たに設立したとあります。

これは、従来、各担当部署が個別に行ってきた取り組みを、他部署とも連携した、全社横断的なものにしていくための組織改革。この部署を軸として、ソニーが順守すべき各国の法令を確認したうえで、これらに対応し、さらに厳密な内部規則をもうける……同時に、万が一の不測の事態にも対処できるように危機管理などの対応を行なう体制が整備されたとのことです。



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