訪問・その19 未利用の水エネルギーを活かすマイクロ水力発電……東京発電株式会社
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■顧客のニーズにあわせて、ビジネスプランを作成

NN:いままでは、山奥にある河川に発電所を建設してきたわけですが、マイクロ水力発電の場合、人が生活している場所にある、既存の設備に流れている水を利用します。いままでとは勝手がちがうことはありませんか?

東京発電:専用の水力発電所とちがい、都市部の水道の場合、水を安定的に供給することが本来の目的ですから、これに影響を与えないようにするのが、いちばん苦心するところです。新しい設備ですから、当然自治体も慎重です。第1号が川崎市水道局の江ヶ崎発電所で、この江ヶ崎発電所が順調にいったため、川崎市の水道局で、ほかの水道局の方々も招いての勉強会を開いていただき、徐々に広まってきました。

NN:もっとマイクロ水力発電を採用してもらうためには、コストダウンも必要ですか?

東京発電:はい、水力発電の長年のノウハウから、水力発電事業に必要な要素を分類し、お客さまが必要に応じてサービスを選べるビジネスモデル『アクアミュー』を開発しました。落差、水、土地、こうした「水力発電資源」をお持ちのお客さまは、資源さえ提供していただければ、あとは必要に応じて、私たちが提供する計画・設計/法手続/建設工事/運転保守/資金管理のサービスメニューを選んでいただくことができます。

さらに、いままで水力発電は、設置する場所にあわせて個々に設備をつくる「オーダーメイド」だったのですが、発電機を「レディメイド」にして流量と落差に応じてS/M/Lの3つのタイプをつくり、コストを抑えるように工夫しました。

■まだまだ眠る未利用水力エネルギー
田村さん
「マイクロ水力発電は、環境貢献のための水力発電所。既存設備を使うので、私たちは“リニューアル水力”と呼んでいます」とおっしゃる田村さんでした。
NN:このビジネスモデルが、平成18年度新エネ大賞 新エネルギー財団会長賞(優秀サービス部門)を受賞したわけですね。このように、マイクロ水力発電を設置するメリットがあるところ、あるいは老朽化して放置された発電設備などは、まだまだたくさんあるのでしょうか?

東京発電:けっこう、あります。水道設備はもちろんですが、東京電力が持っていた中小発電所で、あまりに規模が小さくてメリットが出せなくて廃止したところなども調査しています。また、これから期待できるのは、農業用水だと考えています。ただ、水は本来の目的以外で使用する場合、負担金がかかってきたり、法的な許可が必要になるような場合があります。本来の目的を損なわないためのルールは大切ですが、水のエネルギーを無駄にしないためにも、行政にも理解と検討を期待したいところです。

NN:そうですね。世の中には無駄に捨てられているエネルギーが、まだまだたくさんあるのだと思います。水が「宝の山」に見えてきました。これをいかに回収していくかが、今後の課題になっていくのだと思います。本日は、ほんとうにありがとうございました!


[訪問後記]

私たちの身のまわりには、気がつかないけれど、無駄にしているエネルギーがまだまだありそうです。エネルギー源として環境に与える負荷が小さいものを選ぶだけでなく、無駄にしているエネルギーを回収する。まさに発想の転換といえる、「マイクロ水力発電」でした。小さくとも140軒分の電力をまかなう発電機が、景観や環境を損なうことなく、公園の地下で密かに働いているという事実は驚きでした。みなさんにも、こんな小さな力持ちがいることを知っていただければと思う取材班です!

◎東京発電株式会社 ホームページ
 → http://www.tgn.or.jp/teg/




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