その14 “新原料リサイクル”……帝人のめざすもの


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PETボトルとポリエステル繊維は、同じ素材!
1997年に[容器包装リサイクル法]がスタートし、PETボトルの回収が義務づけられるようになりましたが、そのリサイクル率は約23%(1999年)と、80%あまりのリサイクル率を誇るカンやびんにくらべると、格段と低いままにとどまっています。

現在、回収されたPETボトルは、再生業者が汚れと異物を除去し、フレーク状にしたものを溶解して固め、チップに加工します。チップ状になった再生PETを繊維メーカーが買い取り、ポリエステル繊維に加工して、衣類やカーテンなどの再生PET商品に生まれ変わります。

今回お訪ねしたのは、培ってきた技術で新しいリサイクルの手法を確立して、PETボトル・リサイクルの事業化を推進している帝人株式会社です。PETボトルのリサイクル先を探す必要のある行政の側からも、熱い期待が寄せられているようです。

帝人株式会社広報・IR室の宇佐美 吉人さんを帝人東京本社にお訪ねし、来年3月に事業化するPETボトルリサイクルについて、お話をうかがいました。


Nature Net:容器包装リサイクル法で、PETボトルのリサイクルが義務づけられるようになり、帝人のような化学繊維メーカーは、再生PET樹脂の引き受け先となっています。PETボトルはカンやびんにくらべると回収率も低く、需要の大きな伸びに対して、リサイクルがなかなか進んでいないのが現状です。

本日は繊維業界のなかでも、環境対応に積極的な帝人に、PETボトルのリサイクルの現状と、今後の展望をうかがいたいと思います。まず、私たち一般人にとって、PETボトルを、なぜ繊維メーカーがリサイクルするのかもわからないのですが……。

帝人:そうですね。まずPETというのは、ポリエチレン・テフタレート:Polyethylene Terephthalateを略した名称、石油を原料とするポリエステルの一種です。繊維としては、私たちが着ているポリエステル素材のシャツや、部屋のカーテン、フィルムとしてはビデオテープや包装用フィルム、樹脂としてはPETボトルなどに使われています。つまり、PETボトルは、ポリエステル繊維と同じ原料からできているわけです。

NN:PETボトルをどの段階の“原料”にまでもどすかで、リサイクルにもいろいろあるようですが、現在、PETボトルは、どのようにしてリサイクルされているのでしょうか?

TJ:現在、実際に行われているPETボトルのリサイクルは、“マテリアル・リサイクル”といわれるものです。回収されたPETボトルを、汚れや異物を取り除いて洗浄した後、粉砕してフレーク化します。このフレークを溶解して固め直し、PET樹脂のチップに加工します。このチップから糸や綿をつくるわけです。

この再生繊維を利用して、各メーカーが衣料やカーテンなどに再商品化します。帝人では、このPETボトルから再生した繊維を“エコペット”と名づけ、これを25%以上含む製品を“エコペット商品”として、利用するメーカーにブランドのタグを支給しています。

NN:マテリアル・リサイクルによる“エコペット”の評判はいかがですか?

TJ:“エコペット”は、1996年に事業を開始して以来、生産量も順調に伸びていて、2000年度には3,000トン、2002年度には6,500トンをめざしています。エコペットを使用した商品も増えました。


■PETボトルからエコペット商品ができるまで

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PETボトル フレーク チップ 紡績糸

[出典]帝人グループ 環境・安全報告(2000年版)



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