NN:これだけ省エネルギー関連の開発を進めていくとガスの使用量は減るでしょうから、環境にはよくても、経営的には矛盾しないのですか?
TG:ガスを使うことで省エネルギー、ひいてはコストダウンにつながれば、それは、お客さまがガスシステムを選ぶインセンティブになります。お客さまに当社のガスシステムを選択していただくことが経営的に重要であり、その鍵を握っているのが、まさにこういった技術開発であると考えています。
NN:こういう技術を使えば、ガス会社が電気を供給することも可能になるわけですね。
TG:東京ガスも、“総合エネルギー産業”を標榜して多角的なエネルギー供給を考えています。すでに、新宿副都心などに地域冷暖房センターをつくり、熱を供給するサービスを行っています。
規制緩和により、私たち東京ガスが発電分野にも進出する体制が整ってきました。これは、他のエネルギー産業も同じこと。相互に互いの分野に進出するようになってくるでしょう。
LNGの冷熱を利用した冷蔵倉庫、ドライアイス、液化酸素・窒素の製造、天然ガス自動車、ゴミ発電にガスを投入して発電効率をあげる“スーパーゴミ発電”、太陽熱を有効利用したコージェネレーション、電力ビジネスなど、あらゆる分野で既存の産業枠を越えたエネルギービジネスの展開を図っています。今年(2001年)1月から、エネルギーソリューション事業部という新しい部が立ち上がり、エネルギー利用に関するいろいろな提案をする事業も展開します。
NN:そのような競争は、消費者にとっても選択肢が増えたり、コストダウンにつながるなどのメリットがあるわけですね。同時に環境負荷の少ないエネルギーを選択し、大切な資源であるガスを効率よく使える機器を選んだり、省エネに心がけるなど……やはり、私たちの責任も大きいことが、よく理解できました。今日は、どうもありがとうございました。
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都市ガスの供給とは、非常に公共性の高い事業です。利益の追求だけでなく、私たちの生活を支え、地球環境を守るなど、社会的な役割をじゅうぶん認識しなくてはなりません。そんな自負心がうかがえるインタビューでした。東京ガスの環境への意識の高さは、1960年代の公害対策にはじまり、現在の環境問題への積極的な対応にまで貫かれているようです。
1992年には環境部を設置し、“環境総合政策”を策定。1994年には最初のエコレポート(環境報告書)を発行し、環境会計分野では、他の大手都市ガス会社2社と共通のガイドラインを策定して、その効果を比較できるようにするなど、環境対策の開示に対しても非常に意欲的です。
そんな東京ガスの企業ページと環境報告書HPは、その活動の詳細だけでなく、私たちの暮らしに役立つ楽しい情報がいっぱいです。ぜひご覧になってみてください。
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