その7 徹底した化学物質の管理……キヤノンに学ぶ


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管理システム導入の成果は?
NN:これらの化学物質管理の手法やシステムは、どのような実績として現れていますか?

CN:キヤノンでは、対象物質を3つのランクに分けての管理をスタートさせた1996年に、2000年までに20%削減することを目標に掲げました。実際には、1999年の排出量の実績は1996年比較で約40%削減を達成しています。

NN:予定よりも早く、しかも2倍も削減に成功したのですね。他のメーカーから、参考させてほしいというお話はないのですか?

CN:はい、化学物質管理に関しては、興味をもたれて他社から聞きにいらっしゃいます。基本的に、環境問題は連携が必要であると思っていますので、できる範囲でお互いに情報を公開して、全体のレベルが上がればよいと思います。

NN:最後に、キヤノンとしては環境問題への対応を、今後どのようにしていこうとお考えなのでしょうか?

CN:いま、循環型経済社会の構築が話題になっています。しかし、リサイクルにしても、廃棄物処理にしても、コストに見合う、合理的なシステムや技術の開発が必要であろうと考えています。

複写機を例にとりますと、社団法人日本事務機械工業会が中心となって、複写機メーカー8社が参加する“回収複写機交換センター”を1999年5月に設立しました。事業系のお客さまから回収した複写機は他社製品でも回収して、交換センターに集め、メーカーごとに分別して、各メーカーのリサイクル/廃棄工場に送るシステムを作り上げています。

このように、こと環境問題への対応に関しては、同業他社とも情報をお互い交換・公開し、連携する必要があると思います。それと、循環型経済社会を裏づける、社会システムの構築が不可欠であると考えています。このことについては、逆にNature Netも、消費者や社会全体にもっともっと働きかけてほしいと思います。

NN:宿題が出てしまいました! 本日はお忙しいなか、ほんとうにありがとうございました。


キヤノンは、化学物質の管理だけでなく、環境に配慮した製品設計、環境ラベルや環境報告書に代表される環境情報の開示においても、非常にすぐれている企業でもあります。

みなさんのパソコンのすぐ横にあるBJプリンターは、省エネ設計はもちろん、省資源、リサイクルを考えて設計されたものなのではありませんか?

キヤノンは、設計段階から環境への付加の低減を配慮してBJプリンターを製造しています。個人向けのプリンターは、廃棄されることがまだ少ないこともあり、こうしたプリンターが回収され、リサイクルされ、生まれ変わるという段階には、まだいたっていないようですが、キヤノンが提唱する、“社会システムの構築”の必要性とは、こうしたことが“あたりまえ”のこととして機能することなのです。


■BJプリンター[BJ F620]の環境配慮項目
PHOTO
[出典]キヤノンHP

◎キヤノン“環境への取り組み”HP
http://www.canon.co.jp/ecology/index.html



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