その6 ヤクルト容器で水を浄化! ヤクルト本社


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“ヤクルトの容器が、水質保全に役立てられている!”……そんなことを聞きこんだNature Netは、(予備知識ももたず)、ヤクルト本社、環境対策室の服部さんをお訪ねしたのでした。

今回は、以下に教えていただいた事実をレポートいたします。


それは、鹿児島ではじまった!
20年ほど前、鹿児島県にある第一工業大学の石井 勲 教授(現在、久留米大学非常勤講師)は、新しい合併浄化槽を研究しているうちに、あの小さなポリスチレン製のヤクルト容器の底を抜いたもの(ヤクルトろ材)が、浄化槽の接触材(微生物の住み家)に最適であることを発見しました。いろいろな容器を試してみたのですが、大きさ、形状、材質からして、ヤクルト容器よりすぐれたものはありませんでした。

おどろいたのは、当のヤクルト側です。思いもよらない方法で、ヤクルト容器が利用できることを知り、その有用性を認識して、今日の水浄化による社会貢献へと発展していくのです。


河川の汚染と浄化槽
公害問題に対処する形で次々と施行された法規制により、工場からの排水が1980年代以降だいぶ改善された結果、現在、家庭からの生活排水が河川、湖沼の汚染の第一原因となっています。

国内の中都市以上の市街地では下水道が完備され、家庭からの排水は汚水処理場で浄化した後、河川や湖沼に放流されています。しかし全国レベルでは、下水道普及率は58%(1998年)にとどまっています。

下水道が整備されていない地域にある家庭からの排水を浄化しているのが、各家庭に設置される浄化槽です。浄化槽には、し尿のみを処理する“単独処理浄化槽”と、台所や風呂場からの排水もいっしょに処理する“合併処理浄化槽”とがあります。

水の汚れを表すために[BOD値:Bio-chemical Oxygen Demand]という指標が使われます。家庭からの排水のBOD値は、風呂・洗濯水が7〜8 ppm、水洗便所排水が260 ppm、台所排水が600 ppmと、じつは台所からの排水がいちばん汚れています。

ですから、河川や湖沼の汚れを改善するには、やはり合併浄化槽を使うべきであり、厚生省は1999年度から、下水道が整備されていない地域には、合併浄化槽を取り付ける方針をとっています。その合併浄化槽にヤクルト容器を使うことを考えたのが石井教授で、システムを考案者の名前をとって“石井式合併浄化槽”と呼んでいます。



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ヤクルトの容器の底をカットした“ヤクルトろ材”。
実際にろ材として使用する容器には、商品名などの印刷は入らないとのこと。



合併処理浄化槽設置基数の推移

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[出所]1999年版厚生白書より



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