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高温で“ゴミを溶かす”技術!
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みなさんもご存じのとおり、日本ではほとんどのゴミが焼却処分されています。塩素のふくまれたプラスチック類などが、ゴミのなかに混ざった状態で800℃以下の低温で焼却されると、ダイオキシンが発生します。また、ゴミを燃やした後の焼却灰も、処理をする必要があります。
そこで近年注目を浴びているのが、ドイツなどで導入が進んでいる[ガス化溶融炉]です。ガス化溶融炉とは、ゴミを焼却するのではなく、まず一定温度で加熱し、気化した物質はガスとして回収し、同時に溶融したガラス、陶器類、金属類も回収して、それぞれ再利用する方法です。焼却する場合は、850℃から1,000℃ぐらいの温度ですが、ガス化溶融炉の場合は1,300℃以上という超高温で処理をします。
“高温での取り扱いならおまかせ!”と手をあげたのが、大手鉄鋼メーカーです。今回は、川崎製鉄株式会社千葉製鉄所に1999年の9月に完成した、“川鉄サーモセレクト方式ゴミ処理プラント”を見学させていただきました。そして、環境事業部、営業部の尾宅さん、ガス化溶融設備建設班の小沢さんにお話をうかがうことができました。
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ヨーロッパの技術を導入
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ドイツをはじめとするヨーロッパでは、昔から石炭をガス化する技術が発達していました。サーモセレクト社(本社・スイス)は、ゴミをガス化し、そのガスを改質して燃料として再利用する“熱分解ガス化溶融方式によるゴミ処理技術”を完成。1992年にイタリアのフォンドトチェで、1号機が稼働をはじめました。サーモセレクト社のゴミ処理プラントは、スイスとドイツで5件の採用が決まっており、1999年3月からドイツ、カールスルーエで第2号機が稼働開始しています。
川崎製鉄はその技術に着目し、1997年にサーモセレクト社と技術供与契約を締結しました。そして自社で培った製鉄技術と融合させて、川鉄サーモセレクト方式ガス化溶融技術を生み出しました。1999年9月から、川崎製鉄千葉プラントが稼働をはじめています。
“川鉄サーモセレクト方式”のすぐれた点は、まずダイオキシンの発生がほぼゼロ(0.001ng-TEQ/立方メートル以下)であることです。厚生省により2002年12月から義務づけられる“ゴミ処理施設からのダイオキシン発生量0.1ng-TEQ/立方メートル以下:排ガス1立方メートル中、100億分の1g以下”のさらに100分の1以下です。
そのほかに、ゴミから燃料ガスをエネルギーとして回収できること、すべての回収物を再資源化できること、コンパクトで、大きな敷地を必要としないことがあげられます。また、ゴミ処理施設のシンボルマークである高い煙突がありません。
千葉リサイクルプラントの全景。
ちょっと、ヨーロッパのどこかにありそうなプラントです。
正面には、ソーラーパネルが。
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