第10回 グリーン調達とグリーン購入


04 グリーンコンシュマーの台頭


“私の買った◎▲が地球を救う?”
公共機関が環境配慮製品・商品を購入するとはいえ、一般市民がグリーン商品を購入するようにならなければ、市場を変換する“トレンド”にはなりえません。グリーンコンシュマーとは、消費者が“環境によい”とされる商品を選択することにより、販売店やメーカーにエコ商品を販売、製造することを促し、市場全体をグリーン化しよう消費者行動です。

市民意識の高いヨーロッパでは、多少高くても環境に配慮した製品を購入するという消費者の行動が、企業を環境重視の方向に導いてきました。日本ではまだ、“私の買った再生紙トイレットペーパーのおかげで地球の温暖化がくい止められる”と考えられる消費者は少ないようです。グリーンコンシュマーが大きなうねりとなって、市場を動かすためには、環境製品の情報と市民のネットワークづくりが基盤となります。


広がりはじめた、コンシュマーのネットワーク
市場のグリーン化を促進するために1996年、企業、自治体、消費者団体が共同で設立したNGOが、“グリーン購入ネットワーク(GPN)”です。GPNではグリーン購入のためのガイドラインを設定し、商品の分野ごとに環境配慮製品の基準を公表しています。また、各社の製品が環境面から比較できるように、商品選択のための環境データブックを作成・公表しています。データのみの公表で、特定の商品を環境商品として推薦することはありません。

また東京商工会議所では、グリーン購入ネットワークの進展を受けて、ホームページ上で、“東商エコショップディレクトリー”を作成し、エコ商品を買える店などの情報を提供しています。

1991年、京都のNGO“環境市民”の前身である“ごみ問題市民会議”では、京都市内の全スーパーと生協の環境への取り組みを調査し、京都における“買い物ガイド・この店が環境にいい”という冊子を出版しました。この活動が全国的に広がりを見せはじめ、自治体の支援を受けた他地域のグリーンコンシュマー活動とネットワークを組み、1997年、“グリーンコンシュマー全国ネットワーク”を立ちあげました。

そして1999年、全国のスーパー、生協、コンビニを調査し、本社の環境への取り組みと環境姿勢を明らかにし、採点した、『グリーンコンシュマーになる買い物ガイド ― 環境と健康にいい品、いい店教えます』(小学館)を発刊するまでにいたりました。

モノのない時代には、すべての人が必然的にグリーンコンシュマーでした。大量生産することもなく、素材はすべて自然から、もしくは廃物も当然利用し、お金がないから必要以上のモノは買えませんでした。しかし、モノの豊かな時代に生きる私たちにとって、グリーンコンシュマーであるということは、あまたあるモノのなかから、“地球にやさしい商品を選ぼうという消費者の意識”にほかなりません。

グリーン購入法が施行される2001年は、私たちの消費行動が大きく変わる年となりそうです。


■グリーンコンシュマー10原則
1. 必要なものを必要な量だけ買う。
2.使い捨て商品ではなく、長く使えるものを選ぶ。
3.包装はないものを最優先し、次に最小限のもの、容器は再使用できるものを選ぶ。
4.作るとき、使うとき、捨てるとき、資源とエネルギー消費の少ないものを選ぶ。
5.化学物質による環境汚染と健康への影響の少ないものを選ぶ。
6.自然と生物多様性を損なわないものを選ぶ。
7.近くで生産・製造されたものを選ぶ。
8.作る人に公正な分配が保証されるものを選ぶ。
9.リサイクルされたもの、リサイクルシステムのあるものを選ぶ。
10.環境問題に熱心に取り組み、環境情報を公開しているメーカーや店を選ぶ。
[出典]グリーンコンシュマー全国ネットワーク『グリーンコンシュマーになる買い物ガイド』


◎参考HP
環境省HP
http://www.env.go.jp/

グリーン購入ネットワーク
http://www.gpn.jp/

環境市民
http://www.kankyoshimin.org/


[参考資料]
『戦略環境経営 エコデザイン』 山本 良一・著 ダイヤモンド社・1999年刊
『日本経済グリーン富国論』 三橋 規宏・著 東洋経済新報社・2000年刊
『日経エコ21』 日経ホーム・2000年月11月号
『日経エコロジー』 日経BP社・2000年12月号



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