第9回 容器包装のリサイクル〜“静脈ビジネス”は成立するか?


01 容器包装リサイクル法について、おさらいを


Reduce、Reuse、Recycle:3つのR
日本の家庭からは、年間約5,000万トンの一般廃棄物が排出されています。この数字は、お年寄りから子どもまで、日本人1人あたり、毎日1.1kgのゴミを排出していることを示しています。しかも、ゴミの最終処分場は、残余年数が1998年時点で8.8年しかなく、新たに建設することも社会的にむずかしくなってきています。

家庭から排出されるゴミのうち、55.5%を占めるのは“容器・包装材”です。容器・包装は製品の使用時には要らないものですから、廃棄せずに循環させれば、ゴミの量を減らすことも、枯渇しつつある資源を有効に活用することもできます。

1994年12月に閣議決定された環境基本計画には、“第一に廃棄物の発生を抑制[Reduce]し、第二に、使用済み製品を再使用[Reuse]し、第三に回収されたものをリサイクル[Recycle]し、それが技術的に困難であり、環境への負荷の程度などの観点から適切でない場合、環境保全対策に万全を期しつつエネルギーとして利用を推進する”と記されています。

ゴミの発生を抑制し、資源を有効に活用するために1997年4月に施行されたのが、“容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律”、いわゆる[容器包装リサイクル法]です。

容器包装リサイクル法は、容器包装を製造したり、使用したりする事業者(特定事業者)に、その販売量や売上によって、容器包装の再商品化を義務づけ、相応の負担をしてもらい、資源の循環を促すことを目的としています。一方、商品を使う消費者には、適切な分別排出、自治体には分別回収を義務づけました。


3つのルートによる再商品化
容器包装の再商品化を義務づけられた特定事業者は、3つのルートにより再商品化の義務を履行します。

◎ルート1 特定事業者みずから、または委託によって自主的に“回収”をする場合です。おおむれ90%以上回収している場合は、再商品化の義務が免除されます。リターナブルびんなどはこれにあたります。

◎ルート2 市町村から回収された容器包装を、特定事業者が独自のルートにより自主的にリサイクルしている場合です。

◎ルート3 特定事業者が、独自には回収やリサイクルができない場合です。特定事業者は、指定法人である日本容器包装リサイクル協会に委託料金を支払い、委託された協会は、再商品化事業者に費用を払って再商品化します。

容器包装リサイクル法の施行により、廃棄物を原材料として再度供給する、新たなビジネスチャンスが生まれました。ゴミの山を宝の山に変えようという、この“静脈ビジネス”に目をつけた企業が続々出てきています。

しかし現段階では、1)特定事業者から委託金を集めなくても再生資源として循環するもの 2)委託金によってどうにか循環が成り立つもの 3)なかなかビジネスとして成り立たないもの など、容器包装の素材によっても大きな差が出てきています。容器包装のリサイクルビジネスを成り立たせるためには、どのような条件が必要なのでしょうか。


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[出典]容器包装リサイクル協会HP



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