第6回 環境マネジメントシステムと環境ISO


04 日本のISO14001認証取得件数は、世界一!


世界中のISO14001規格の登録件数は、2000年3月時点で約15,700件。そのなかでも、日本で登録されたものは3,550件あまりです。2位のドイツは約1,950件あまりですから、日本の企業がいかにISOに関心をもっているかを示しています。

日本は、廃棄物など、“公害”に対する基準がきびしかったため、ある程度の下地はあったといえます。日本でこれほどISO14001認定取得への関心が高いのは、これが世界企業として“生き残るために必要”だと、多くの企業が感じているからだと思われます。


ISO14001を取得するのは企業にかぎらない
ISO14001の審査登録をするのは、企業にかぎりません。ISO14001規格の定義によれば、審査を受ける組織とは、“法人か否か、公的か私的かを問わず、独立の機能および管理体制をもつ、企業、会社、事業所、官公庁もしくは協会、またはその一部もしくは結合体”であるとしています。

ISO14001を取得する組織は、審査登録がはじまった当初は、電気機械製造業が半数以上をしめていました。しかし、そのあと、しだいに化学工業、機械、精密機械といった、工業全般にひろがりを見せるようになりました。さらに、サービス業や、コンビニエンスストア、また地方公共団体など、あらゆる組織がISO14001を取得するようになってきています。


環境ISO取得のメリット
ISO14001の審査登録の最大のメリットは、消費者や投資家、あるいは契約相手が、同じ製品を供給する会社であるならば、“環境にやさしい”会社を選ぶだろうということです。会社のイメージアップにつながり、また、国際的な規格を満たした会社であることを証明できるわけですから、海外での入札や取引開始などでも有利になるといえます。また、ムダな資材、運搬、廃棄物などの削減をうながしますから、コストダウンにもつながる可能性もあります。有害な化学物質などの[環境リスク]管理体制づくりにも役だちます。


環境ISO取得のデメリット
いっぽうで最大のデメリットは、取得にまつわる“費用”です。まず、準備費用、審査費用、コンサルティング料、場合によっては、施設の改善費用などが発生することが考えられます。また、ISO専門の要員を配備すれば、それだけ人件費もかかり、文書化が義務づけられていますから、文書類が増え、社員全体の手間もかかります。この費用は、中小企業にとっては、かなりの“ハードル”であるはずです。

そしてもう1つ考えなくてはならないのは、ISO14001の審査登録は、環境マネジメントシステムをもっているという証明にすぎないということです。審査登録はあくまではじまりであって、その効果のほどは、環境監査や環境パフォーマンス評価を実施し、企業が積極的に公表していかなくては、せっかくの認定も意味をなしません。

こういった意味では、環境ISO規格もまだまだ発展途上にあり、これからより具体的な規格を加えていかなければなりません。環境問題に対して人類が認識を深め、対応策を真剣に考えだした出発点である1992年の“リオの地球サミット”から、まだ10年も経過していないのです。環境に関する世界標準もこれからもっと洗練されたものになっていかなければなりません。

■日本におけるISO14001審査登録数の推移
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[出典]日本工業標準調査会(JISC)HP

■日本における業種別ISO14001審査登録件数
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[出典]日本工業標準調査会(JISC)HP


◎参考HP
ISO ON LINE
(International Organization for Standardization)
スイスのジュネーブにあるISO本部のHP
http://www.iso.ch/

日本工業標準調査会
http://www.jisc.go.jp/

JAB(日本適合性認定協会)
審査登録機関や登録をすませた企業のリストも掲載されています。
http://www.jab.or.jp


[参考資料]
『環境ISOが見る見るわかる』 萩原 睦幸・監修 サンマーク出版・1998年刊
日経文庫『環境法入門』 畠山 武道、大塚 直、北村 喜宣・著 日本経済新聞社・2000年刊
『ISO14000のための環境影響評価』 福島 哲郎・監修 日経BP社・1999年刊



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