第4回 エコデザインとライフサイクル・アセスメント


04 環境影響評価と製品開発


その他の環境影響評価法
◎チェックリスト法とマトリックス法
もう少し簡便に、製品の環境度を知る手法に、チェックリスト法とマトリックス法があります。チェックリスト法は、工業製品ごとに環境面のチェック項目をつくり、アセスメント方法を決めて環境度を測ろうという方法です。マトリックス法は、製品のライフステージごとに環境チェック項目を設けて、点数を入れ、総合的に評価を加えようというものです。

MIPS最小化法
なにかの製品を作るための直接材料だけでなく、間接的な材料、たとえば触媒、型枠、電力、空気、水などを消費しています。この直接材、間接材すべてをあわせた物質の投入を“物質集約度”(Material Intensity=MI)と呼びます。物質集約度(MI)をサービスで割ると、単位サービスあたりの物質集約度が計算できます。これが、MIPS(Material Intensity Per Service)で、値が小さいほど、資源生産性は高くなり、環境負荷は減ると考えられます。この手法は、廃棄物を減らすことに目を向けがちな評価方法に対して、使う資源=インプットに注目している点が特徴です。


環境ISOとLCA
環境マネジメントの国際基準[ISO14000s]では、環境影響評価を実施し、それを基準に環境改善努力の目標設定、評価を行うように要求されています。ISOの環境影響評価は、その評価のルールを個々の企業が設定するようになっており、“国際基準”としては矛盾するように思えますが、個々の企業の組織や業態があまりに異なるため、共通の型にはめこむことがむずかしいのです。ISOの環境影響評価は、他社との比較ではなく、むしろ自社の管理、目標設定、達成度を計る尺度として使うのが目的とされています。独自の環境影響評価基準を設定する企業もありますが、ISOが要求する環境影響評価をLCAを使って実施することもできます。


エコデザインの重要性
“環境によい”という表現は抽象的です。ダイオキシンを発生させないために、高温で燃焼させる焼却炉を使えば、それだけ燃料も使い、二酸化炭素を排出してしまうなど、ある面では環境に“よく”ても、別の観点では“悪く”なる場合もあります。こういう場合にどちらを選択するのか、またどのメーカーの製品がいちばん環境効率がよいのか、あるいは自社内でどれほど環境対策が効果を上げているのか……どの場合にも、客観的に判断を下すための数値が必要です。

環境への影響を数値化することには、時間と手間がかかり、当然お金もかかります。しかし、製品製造時のコストを計算するのに原価計算が必要なように、環境問題が深刻化するなか、環境影響評価を数値化することが、各企業にとっても、社会全体としても必要となるでしょう。

環境によい製品とは、技術の革新だけでなく、地道なデータの集積によっても達成することができることを忘れてはなりません。むしろ環境影響評価は、いますぐ実行できることとして、企業活動の責任の一部であるとらえるべきなのかもしれません。

■循環型社会のしくみ
illust

資料:通商産業省産業構造審議会、地球環境部部会、廃棄物・リサイクル部会合同 基本問題小委員会
[出典]『循環型経済のしくみがよくわかる』


[参考資料]
『戦略環境経営 エコデザイン』 山本 良一・著 ダイヤモンド社・1999年刊
『地球環境ビジネス 2000→2001』 エコビジネスネットワーク編 産学社・1999年刊
『循環型経済のしくみがよくわかる』 グリーンマーケティング研究所 中経出版・2000年刊
『ISO14000のための環境影響評価』 福島 哲郎・監修、市川 良明・山田 賢次・著 日経BP社・1999年刊
『日経エコ21』 日経ホーム・2000年5月号



back to top
prev
トップページ プライバシーポリシー サイトマップ
NatureNetは 株式会社青木コンセプト事務所 が発行するオンライン・マガジンです
Eyes on the Globe