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02 地球温暖化がもたらすもの | ||
その4:まだある、その他の深刻な影響 |
【健康悪化】
{マラリア、黄熱病などの増加} {日本では熱中症や熱射病も増加} ■増加する死亡率や伝染病危険地域 地球温暖化により、夏季に気温が高くなる頻度と期間が増加すると、熱射病などの発生率や死亡率が増加するおそれがあります。日平均気温が27℃、日最高気温が32℃を越えると、熱射病などの患者数が急激に増加します。また、特に高齢者の死亡率が増加することも指摘されています。 最近の調査結果では、死亡率の高い熱帯熱マラリアが、従来考えられていたよりも低い気温(最低月平均気温13℃)でも流行すると考えられています。最悪の場合、2100年には中国北部、韓国、西日本一帯までが流行危険地域に入る可能性があります。その他、デング熱などの北上も予想されています。 【生態系バランスの破壊】 {微生物や動物を含めた生態系全体が各地で変化} {森林生態系破壊による二酸化炭素(CO2)の大量発生} ■急速に移動する気候帯に順応できない動植物 動植物はそれぞれに適した地域に生息していますが、温暖化が進むと、北または高地に移動しなければなりません。樹木が種子をとばして分布を広げる速度は、40m/年から最高でも約2km/年といわれ、温暖化により約1.5〜5.5km/年で移動する気候帯にはとても追いつけません。 自力で動ける動物にとっても、山岳や海峡などの地形や、都市や道路などの人工物が移動の障壁となります。このため、分布限界に位置する種や高山などに孤立して存在する種などは、行き場を失い絶滅するおそれがあります。 【食料生産への打撃】 {増産、減産地域の発生による格差拡大} {貧困地域の飢饉、難民発生の危険} ■農産物の生産におよぼす気候変化の影響 日本の農産物の自給率は約30%と低く、このため世界の食糧生産が変動すると大きな影響を受けます。名古屋大学と国立環境研究所によるアジア太平洋温暖化対策統合モデル(AIM)の分析では、米の生産量は若干増加する国があるものの、小麦やトウモロコシは、重要な生産地である中国やインドなどで、大幅な生産量の低下が見こまれます。冬小麦の生産量は、2100年にはインドで55%、中国で15%減少すると予測されています。 <出所> 環境庁地球環境部監修 『地球温暖化への我が国への影響』 1994 環境庁 『地球温暖化の重大影響』1997 |